賃金の放棄

自由な意思に基づくのならば問題ない

賃金債権を放棄することについては、法律上制限はありません。

退職金に関する最高裁の判例で、在職中の不正経理の弁償として退職金を放棄し、退職に際して「使用者に対し、いかなる性格の請求権も有しない」旨の書面を提出した退職者が、退職金の放棄は賃金の「全額払の原則」に反し効力を生じないとして、退職金を請求した事案で、労働者の賃金債権の意思表示はその自由な意思に基づくことが明確であれば有効であり「全額払の原則」に抵触しないとした例があります。(シンガー・ソーイング・メシーン退職金請求事件 最高裁 昭和48.1.19)

なお、在職中の放棄については、労働者の自由な意思に基づくかどうか問題があるとして、否定的な見解が多くなっています。

また、税金などの負担を免れるために賃金の一部を返上することは、法の精神に反するといえるでしょう。


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