能力主義賃金の特徴

特徴

(1) 一般従業員に関する年齢給の縮小と、職能給の拡大
中堅層・管理職に関する年齢給の廃止と職能給への一本化
(2) 習熟昇給の減少・廃止、能力を重視した昇格昇給の拡大
同一資格内での勤続に伴う賃金上昇(昇給率)の抑制
人事評価・査定制度の精密化とそれに基づく賃金カーブの複線化や賃金減少
資格上の降格制度の導入、昇格要件の厳密化
(3) 管理職層における「成果」に基づく年俸制の導入
(4) 諸手当の廃止、見直し
(5) 一時金への成績率導入徴収
ポイント退職金制度導入、または退職金の年間賞与への組入れ

能力成果主義導入にあたっての使用者の義務

(1) 目標管理を含めた双方向的制度の整備
透明性・具体性のある評価基準の整備とその開示
評価の納得性・客観性を保つための評価方法の整備(複数の評価者による多面的評価制度の導入等)
評価を処遇に反映させる明確なルールの整備
(2) 労働者の能力に即した適切な目標設定
能力発揮のための環境整備(職務給付の適切さ、能力開発機会の提供等)
評価者の評価能力の向上
(3) 評価結果の開示・説明
(4) 紛争処理制度(苦情処理制度等)の設置

能力成果主義に対する労働組合の取り組み

(1) 就業規則(労働協約)上の対応
  • 評価システム設計への関与
  • 評価結果の賃金等の処遇への反映に対する関与
(2) 個々人の賃金決定に際しての、「労働条件対等決定の原則」に基づくサポート

成果主義、労使とも9割が「問題」 民間機関調査

目標がどれだけ達成できたかで給与や昇進を決める「成果主義」人事制度について、労使ともに約9割が「問題あり」とみていることが、民間調査機関の労務行政研究所の調べでわかった。

制度そのものについては経営側の15%が「機能している」と評価していたが、労働側はゼロだった。

調査は昨年12月から今年1月に実施。東証1部上場97企業の人事労務担当役員と、122の労組の幹部から回答を得た。

同制度を導入している企業は約7割で、そのうち、自社の制度に「問題あり」と答えたのは、経営側88%、労働側94%。従業員1000人未満の企業では経営側97%、労働側100%に達した。

理由(複数回答)で最多は「評価・目標管理制度」。約9割の労使があげ、「上司が公平に評価していない」「チームでの業績を個人の評価にあてるには無理がある」などとした。

次いで「社員のモチベーション」「人材育成・人事異動」に問題があるとした回答が多かった。

一方、経営側の15%は同制度が「機能している」と答え、「どちらかといえば」を加えると71%が制度を評価していたが、労働側は「機能している」はゼロ、「どちらかといえば」も41%で、労使で開きが出た。

同研究所は「経営側は現制度に問題を感じながらも、社員のやる気が高まったなどと肯定的にとらえている部分もある。欧米をまねた形から、自社に合う形を模索している状態だ」と分析している。

(asahi.com 2005.3.22)

竹中工務店(賃金差別等)事件 東京地裁 平成16.5.19

実務職として勤務してきた被告が、総合職(新規課題への対処・広範囲な業務・海外への異動・高度な専門業務などが課せられる)であり、2年分の賃金差額を求めた。

裁判所は、総合職と実務色は、職域・期待される能力・責任の軽重・配転の範囲などの労働契約の内容が異なっており、コース変更の制度もある以上、賃金に差が出ても違法だとはいえない、と判断した。

同一賃金を求めるためには、具体的な職務の同一性を指摘し、入社以来総合職とまったく同じであったと主張する必要がある。


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