平均賃金
賃金額補償の基礎となる
労働基準法で定められている補償や減給の制限額を算定するときの基準となる賃金です。
以下のような算出方法が定められています。(労働基準法12条)
算定しなければならない事由の発生した日以前3ヶ月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額です。
総日数とは総暦日数であって総労働日数ではありません。
「事由発生以前3ヶ月」という文言となっていますが、当日は労務の提供が完全になされない場合が多いことから、実務上はその前日から3ヶ月間と解されています。
また、賃金締切日がある場合は、それを基準にして3ヶ月さかのぼることとなっています。
賃金項目によって賃金締切日が異なる場合は、それぞれの賃金締切日ごとに3ヶ月さかのぼって計算されることになります。(昭和24.7.13 基収2044号)
原則:完全月給制の場合
賃金に変動部分がある場合
ただし、賃金の一部に、月により変動する要素がある場合は、以下の式により計算したものと、原則の計算額を比較して、いずれか高い方が平均賃金となります。
日給月給の場合の最低保障
完全月給制(賃金の欠勤控除がない)でない者の平均賃金を上記計算式で計算すると、欠勤日数が多い場合、著しく低額となる可能性があります。
このため、最低保障が設けられています。
平均賃金の計算の必要なとき
- 解雇する場合の予告に代わる解雇予告手当(労働基準法20条)
- 使用者の責任による休業の場合に支払われる休業手当(労働基準法26条)
- 年次有給休暇の日について支払われる手当(労働基準法39条)
- 労働者が業務上負傷、もしくは疾病にかかり、又は死亡した場合の災害補償
・休業補償(労働基準法76条)
・障害補償(労働基準法77条)
・遺族補償(労働基準法79条)
・埋葬料(労働基準法80条)
・打切補償(労働基準法81条)
・分割補償(労働基準法82条) - 減給の制裁の制限額(労働基準法91条)
労働基準法第91条(制裁規定の制限)
就業規則で、労働者に対しての減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。