年俸制と賃金

年俸制における年俸額の引下げ

(1) 年俸額交渉の結果としての減額
(2) 年俸額の事後的調整(交渉によって前年度末に確定した年俸額を、当該年度途中に変更すること)
(3) 調整年俸制(年俸額を仮年俸にしておいて、年度末に再度調整する制度)

固定給を意味する確定年俸については、賃金額が確定している以上、その事後的調整は不可能であり、当該年度の成績不良はあくまでその翌年度の年俸額に反映させるべき事由です。

能力主義賃金制度の導入

資格の引下げとしての降格の新設や年俸制の導入は、通常の労働条件の変更と異なり、賃金を直接引下げるわけではなく、それを可能にする制度であるため、以下が、問題となります。

  1. 労働条件の不利益変更に当たるか
  2. あたるとすると、その要件をどう考えるべきか

欠勤控除

年俸制の欠勤控除を行う場合は、対象を月例給与のみとするのか、年俸の総額を対象とするのかが問題となります(年俸額の一部をボーナス相当部分として夏冬に支給する企業が多いため)。

これは、年俸制の決め方などによって異なってきます。

労働基準法24条にいう賞与については、「支給額が予め確定されていないものをいう」(昭和22.9.13 発基17)とされているため、変動する部分であれば、それは除外することになります。

逆に、年俸額を16等分し、夏冬にそれぞれ2月分ずつが、賞与相当として支給され、これが変動しないとすれば、欠勤控除の計算に算入することも可能です。


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