業績連動


賞与を経営上の成果・業績とリンクさせて決める方法には、次のようなものがあります。


売上リンク方式

これは、支給原資の全部または一部を売上にリンクさせて決めるというものです。

たとえば、計算期間中の売上の5%とか6%という形で支給原資を決めます。

売上は、会社経営の原点であり、また、社員にとっても最もわかりやすい経営指標です。このため、業績の指標としてふさわしいのですが、売上が多くても利益が少ないときでも、支給原資が多くなってしまうという問題があります。


付加価値リンク方式

会社は、原材料等を他から仕入れ、それを加工するなどして一定に付加価値をつけ、取引先や消費者に販売します。

売上から原材料等の仕入代金を差し引いたものが「付加価値」です。

付加価値とリンクさせて支給原資を決めることも、合理的です。


利益リンク方式

これは、粗利益、営業利益、経常利益、純利益など利益とリンクさせて、支給原資の全部または一部を決めることをいいます。

たとえば、「粗利益×15%」とか「営業利益×20%」という形で決めます。

利益を出さなければ、会社経営は成り立たないので、利益とリンクさせて賞与の支給原資を決めることは、非常に合理的だといえます。

ただし、業種によっては、利益の計算が必ずしも簡単ではないという問題が生じます。

2016年夏季・冬季「賞与・一時金調査結果」の概要(日本経済連合会 2017.3.30)

<調査の基本事項>

  • 調査対象:経団連企業会員および東京経営者協会会員企業1,926社
  • 調査機関:夏季賞与→2016年6月・7月支給分、冬季賞与→2016年11月・12月支給分
  • 回答状況:集計企業数325社(有効回答率16.9%)製造業52.0%、非製造業48.0%

<調査結果の概要>

(1) 賞与・一時金総額(原資)の決定方法

業績連動方式を導入している企業の割合は、全産業(55.0%)、製造業(57.8%)、非製造業(52.1%)いずれも本項目の調査を開始した1987年以降で最も高くなった。

業績連動の基準とする指標(複数回答)としては、「営業利益」(57.3%)が最も多く、以下「経常利益」(45.7%)、「生産高、売上高」(23.8%)の順になっている。

規模別でみると、500人以上規模では「営業利益」(61.5%)、500人未満規模では「経常利益」(61.8%)を指標としている企業が最も多い。

(2) 賞与・一時金の水準

非管理職・管理職別にみると、非管理職は夏季74万9,673円(対前年増減率+0.6%)、冬季73万183円(同0.0%)、管理職は夏季147万5,382円(同+1.6%)、冬季138万 4,574円(同△1.1%)となった。

対前年増減率は、非管理職・管理職いずれも、夏季については 2013年以降4年連続のプラスとなった一方、冬季は円高の進行などから中間決算において減収減益の企業もみられ、管理職ではマイナスに転じた。

しかし、支給額や月数でみると、依然としてリーマンショック前の高い水準を維持している。

(3) 産業別の状況(非管理職平均)

製造業は夏季77万1,073円(対前年増減率+1.1%)、冬季77万2,180円(同△0.4%)となり昨年と比べて増減が見られたが、非製造業は夏季 72 万 7,004 円(同+0.1%)、冬季 68 万 5,290 円(同+0.5%)でいずれも前年とほぼ同水準となった。

個々の業種でみると、土木建設業(夏季+13.8%、冬季+5.6%)など大幅なプラスとなった業種がある一方で、夏季または冬季において対前年増減率がマイナスとなった業種(10業種)が昨年(4業種)より増加するなど、業種を取り巻く経営環境を反映してばらつきがみられた。

(4) 配分割合

1人あたり平均賞与支給額を100とした場合の配分比率をみると、非管理職は「定率分」34.1、「考課査定分」34.0、「定額分」27.1、管理職は「定率分」20.7、「考課 査定分」48.5、「定額分」26.3となった。

非管理職・管理職とも、1990年代以降は、「定率分」の割合が減少する一方で、「考課査定分」あるいは「定額分」が増加傾向にある。近年では、「考課査定分」は非管理職で約3割、管理職で約5割となっており、「定額分」も2割超となっている。

(5) 考課査定の幅

標準者を0とした考課査定幅の分布状況は、非管理職・管理職とも「最高と最低の幅が同じ場合」では「10%以上 20%未満」が、「最高と最低の幅が異なる場合」では「50%以上」が最も多くなっている。

5年前の2011年と比較すると、「最高と最低の幅が同じ場合」では、非管理職が「30%以上 40%未満」(2011年比+3.2%ポイント)、管理職は「20%以上 30%未満」(同+8.3%ポイント)が伸びている。

「最高と最低の幅が異なる場合」では、非管理職・管理職ともに、総じて「50%以上」が伸びており、4.6%~7.5%ポイント増加した。


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