解雇と賞与

解雇の場合は請求権が生じる

一般的にいって、労働者の退職の事由にかかわらず、すなわち、自己都合退職であるか、会社都合による普通解雇であるか、懲戒解雇であるか等にかかわらず、支給日に雇用関係がない以上、「支給日在職」要件があれば、賞与を支給しないことになっても、直接労働基準法24条に違反するものではないと考えられます。

ただし、労働者側に何ら解雇される理由がないにもかかわらず、賞与の支給を免れる目的から支給日直前に解雇したような場合は、解雇そのものの有効性が問題になるでしょうし、賞与の不支給が公序良俗に反するものとして無効とされる可能性が高いと考えられます。

したがって、労働者の側に解雇される原因がある場合はともかくとして、会社の意思と都合による退職者(定年退職者、整理解雇者など)については、査定期間というものを設定している以上、この取り扱いは公序良俗に反し許されず、それらの者は勤務期間に対応した賞与請求権を取得すると考えられます。

桜井鉄工所事件 千葉地裁 昭和48.9.12

「支給日当日在籍の組合員」との文言は、任意退職者を一時金支給対象から除く意味と考えられ、会社の一方的な意思表示による解雇者を支給対象から除外している趣旨と解することはできない。(仮に・・・解雇者が一時金支給対象者から除外されるとすると、会社は支給当日前に組合員を解雇することによって一方的に自らの義務を免れうるという不合理な結果を招来する)。


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