不法就労

不法就労とは

不法就労とは次のような場合をいいます。

  1. 我が国に不法に入国したり、在留期間を超えて不法に残留したりするなどして、正規の在留資格を持たない外国人が行う就労活動
  2. 正規の在留資格を持っている外国人でも、許可を受けないで、その在留資格で認められた活動の範囲を超えて行う就労活動

当人への刑罰

不法入国の罪 罰金300万円

  • 偽変造旅券で入国した場合
  • 在留期間を経過して不要残留(オーバーステイ)した場合、がこれに該当します。

無許可資格外活動の罪 罰金200万円

  • 就学生が資格外活動許可を受けずに日雇いアルバイトをした場合などが、該当します。

不法就労の取り締まりは警察が行います。

刑罰については、司法手続きによることになります。

司法警察員、検察官による取り調べ、捜査により起訴され、刑事裁判にかけられます。

過去に強制退去がある者については10年間、当局の摘発等により退去強制されたもの(過去強制歴等のない場合)は5年間、出国命令により出国した者については1年間、日本に上陸することは拒否されることになります。


出国命令

不法残留(オーバーステイ)の者が次のいずれの要件も満たす場合は自ら出国することができます。

  • 速やかに出国する意思をもって自ら入国管理官署に出頭したこと
  • 不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
  • 入国後に窃盗罪等の所定の罪により懲役又は禁固に処せられていないこと
  • 過去に退去強制歴等のないこと
  • 速やかに出国することが確実に見込まれること

出国のための費用は本人負担です。


強制退去

強制退去の手続きは警察官と地方入国管理局の入国警備官が連携して行います。

強制退去のプロセス

強制退去のプロセス

強制退去させられた場合その外国人は、以降5年間は日本に入国できません。


在留資格の取消

上陸許可や活動内容を偽っている事実が判明した場合は、在留資格が取り消されます。


不法就労助長罪(入管法第73条の2)

不法就労者を雇い入れると事業主も罰せられる

不法就労外国人であることを知らないで雇用した場合にも、処罰を免れることはできません。(入管法第73条の2第2項)

外国人の雇用に際しては、旅券(パスポート)または在留カード等により、「在留資格」「在留期間」を確認することが大切です。

就労を認められない在留資格で滞在している外国人や、在留期間を超えて滞在している外国人、上陸の許可を受けずに入国した外国人などのいわゆる「不法就労者」を雇用したり、不法就労となる外国人をあっせんした者など不法就労を助長した者は3年以下の懲役または300万円以下の罰金 (2004.12.2改正施行)に処せられます。(入管法第73条の2)

企業の従業員がこの法を犯した場合は、その行為者が罰せられるだけでなく、両罰規定により、その法人または人に対しても、同じ罰金刑が科せられます。

また、集団密航者を運んできた者からその密航者を収受して、支配管理下においたまま不法就労させている場合、不法就労助長罪のほか入管法74条の4により5年以下の懲役または300万円以下の罰金(営利目的があれば1年以上10年以下の懲役および1,000万円以下の罰金)に処せられます。

退去強制を免れさせる目的で、不法入国者または不法上陸者をかくまう等の行為をした場合、入管法第74条の8により3年以下の懲役または300万円以下の罰金(営利目的があれば5年以下の懲役および500万円以下の罰金)に処せられます。

入管法第73条の2

次の各号の一に該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  1. 事業活動に関し、外国人に不法就労させた者
  2. 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
  3. 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあっせんした者

2 前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

  1. 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
  2. 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第19条第2項の許可を受けていないこと。
  3. 当該外国人が第70条第1項第1号から第3号の2まで、第5号、第7号から第7号の3まで又は第8号の2から第8号の4までに掲げる者であること。

入管法第74条の4

第74条第1項又は第2項(※集団密航者の受入)の罪を犯した者からその上陸させた外国人の全部若しくは一部を収受し、又はその収受した外国人を輸送し、蔵匿し、若しくは隠避させた者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。当該外国人の全部若しくは一部を、これを収受した者から収受し、又はその収受した外国人を輸送し、蔵匿し、若しくは隠避させた者も、同様とする。

2. 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上10年以下の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。

3. 前2項の罪の未遂は、罰する。


不労就労と解雇

就職時点で証明書類の偽造があったために、不法就労の確認ができなかった場合などは、解雇をしても、解雇権の濫用には当たらないと考えられます。

不法就労等外国人対策の推進

平成29年3月31日

警察庁

法務省

厚生労働省

警察庁・法務省・厚生労働省の三省庁は、これまで相互の協力を深めながら有効かつ適切な不法就労等外国人対策を積極的に推進してきた。

平成5年には約30万人に達した不法残留者について、平成16年から始まった政府一丸での「不法滞在者5年半減計画」等の様々な取組によって、平成26年1月1日現在の不法残留者数を約5万9千人にまで減少させるなど、不法就労等外国人の大幅な縮減を図ることができた。

しかしながら,平成29年1月1日現在の不法残留者数は6万5,270人と、3年連続で増加し、今後の動向について予断を許さない状況にある。

これら不法残留者を含む不法滞在者は依然として我が国に多数存在しており、その多くは不法就労に従事しているとみられるとともに、昨今は、偽変造在留カード等の偽変造文書を行使する者や、虚偽文書等を行使することなどによって、あたかも在留資格のいずれかに該当するかのごとく偽装して不正に在留許可等を受け、不法就労を行う者等のいわゆる偽装滞在者の存在が深刻な問題となっており、その手口も悪質・巧妙化している。

4年連続で過去最高を更新した昨年の訪日外国人旅行者数は2,400万人と初めて2,000万人の大台を超え、今後、更なる高みを目指すこととされている政府による観光立国の推進には、こうした不法就労等外国人の存在が大きな阻害要因となるばかりか、適正な労働力の需給調整の妨げともなるなど、我が国の労働市場や社会全体に悪影響を及ぼす可能性が高い。

また、これらの者は、地下銀行による不正な送金、偽装結婚及び不法就労助長等の犯罪インフラ事犯と密接に関連しているため、犯罪インフラ事犯の着実な撲滅のためにも強力な不法就労対策が不可欠である。

このような状況の中、政府は「『世界一安全な日本』創造戦略」に基づき、安心して外国人と共生できる社会の実現に向けて、水際対策、外国人労働者の就労状況の適切な把握、不法滞在・偽装滞在対策等の推進及び情報収集・分析機能の強化などを行うことによって、3年後に迫った2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も視野に入れつつ、「世界一安全な国、日本」を創り上げることとしている。

また,平成26年12月に策定された「人身取引対策行動計画2014」においても、「不法就労事犯に対する厳正な取締り」等を掲げており、人身取引等の国際的な組織犯罪への対策としても、不法就労等外国人に対する各種取組を政府全体として推進していくこととしている。

そこで、警察庁、法務省及び厚生労働省の三省庁は、これらの取組の実施について、より一層の連携強化を図ることとし、下記事項に重点を置き、悪質・巧妙化する不法就労等 外国人への取組を別紙「不法就労等外国人対策の具体的内容」によって、より一層強力に推進していくこととしたい。

不法就労等外国人対策の具体的内容

1 不法就労等事案の取締り等の強化

  • 警察及び入国管理局による関係機関と連携した合同摘発及び不法就労の未然防止に向けた水際対策の推進
  • 警察及び入国管理局による不法就労機会の撲滅に向けた不法就労助長行為事案等の取締りの強化
  • 労働局による労働基準法等(強制労働の禁止等)の違反に係る強制捜査等と警察及び入国管理局との連携の強化
  • 労働局による不法就労助長行為を行った派遣元事業主等に対する許可取消等の行政処分に関する警察及び入国管理局との連携の強化
  • 悪質な外国人犯罪に対する厳正な刑事処分
  • 警察及び入国管理局による効果的な情報の分析結果に基づく不法就労等外国人の集住又は集団で不法就労する地域に対する取締りの強化
  • 入国管理局による入管法第19条の19及び同法第59条の2に定める事実の調査の積極的な活用
  • 入国管理局による偽装滞在者に対する在留資格取消手続の的確な実施
  • 警察及び入国管理局による偽装滞在事犯、偽変造在留カード等行使事犯及び難民認定申請を悪用した不法就労事犯等の取締りの強化と実態解明に向けた努力の強化
  • 警察、入国管理局及び労働局による人身取引に係る事犯等の取締りの強化と取締りに伴い認知した人身取引被害者の保護・支援

2 不法就労等外国人及び悪質なブローカー・雇用主等に関する緊密な情報交換

  • 警察、法務省及び厚生労働省の第一線機関等による円滑な情報交換の実施・連携の強化
  • 入国管理局における不法就労の未然防止に向けた水際対策に資する情報の収集・分析の強化と水際対策関係機関との情報交換・共有の強化
  • 雇用対策法第29条に基づく厚生労働省から法務省への適切な情報提供と入国管理局における情報の積極的な活用
  • 入国管理局における偽変造在留カード等の通報に関する関係機関との連携の強化
  • 入国管理局による悪質なブローカー・雇用主及び偽変造在留カード行使者等の警察に対する積極的な告発・通報

3 不法就労等防止に向けた広報,啓発及び指導の積極的実施

  • 警察、入国管理局及び労働局等による広報・啓発活動の推進
  • 都道府県等を単位とする警察、入国管理局及び労働局による事業主団体等に対する説明会の開催
  • 関係機関の連携による外国人雇用状況届出の履行の徹底と不法就労防止のための事業主に対する指導の促進
  • 不法滞在者の自発的な出頭を促すための出国命令制度等の積極的な広報活動の推進

数時間で強制送還「早すぎ」と提訴 バングラ国籍の6人

入管から退去強制を告げられた後、数時間以内に実際にバングラデシュに強制送還された同国籍の男性(39)ら6人が27日、「処分取り消しを求める訴訟を起こす機会を奪われた」などとして、国や当時の東京入国管理局長を相手に慰謝料計1800万円を求める訴訟を東京地裁に起こした。

訴状などによると、6人は超過滞在(オーバーステイ)の状態だったが、いずれも在日10年以上で飲食業や製造業の職に就いていたため、在留特別許可をもらおうと04年9月に東京入国管理局に出頭した。

しかし、入管は6人の主張を認めず、在宅調査を経て同年11月に6人を収容。

6人は05年1月21日朝、入管職員に退去強制令書の発付を告げられ、数時間以内に成田空港から飛行機で強制送還された。

また、抵抗せず、逃亡の恐れもなかったのに手錠をかけられたという。

原告代理人の弁護士は「極めて異例な取り扱い。手錠の使用も法的根拠がなく、精神的な苦痛は計り知れない」と主張。

一方、法務省入国管理局は「法律に従って速やかに送還しており、適切な措置だ」としている。

(asahi.com 2006.2.28)


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