退職、定年、解雇での差別

退職、定年や解雇に関する差別

男女別定年制や結婚・出産退職制は均等法第9条に明白に違反しているので無効です。

したがって、男性は60歳、女性は55歳など、男性と異なる定年年齢を設定したり、女性は結婚退職する旨の規定は、当然のことですが違法となります。

形式的には差別とはなっていないけれども、資格別定年制や職種別定年制を取っていて、それが現実には男女別定年制として機能している場合などは、違法とされる可能性があります。

鳥屋町職員事件 金沢地裁 平成13.1.15

女性職員が違法な退職勧奨(男性58歳、女性48歳)を拒否して以降、昇給させないのは、違法な不利益取扱いであり、使用者は損害倍賞責任を負う (慰謝料を含む約80万円を差別賃金に相当する損害賠償額として認めた)。

大阪市交通局協力会事件 大阪高裁 平成10.7.7

職種名の変更に伴って職種別に男女一律の定年年齢(65歳ないし60歳)を設けた。比較的定年年齢が高い職種で仕事をしていた女性が、定年年齢が低い職種へ名称変更された。裁判所はこの職名変更を、女性の定年年齢が65歳になることを避け、男女の定年格差を維持しようとして行われたものであって、差別待遇である、と判断した。

コパル事件 東京地裁 昭和50.9.12

「既婚女子社員で子どもが2人以上いる者」という解雇基準は無効。

小野田セメント事件・第一審判決 盛岡地裁一関支部 昭和43.4.10

人員削減の基準を「有夫の女子、30歳以上の女子」ということにした指名解雇は無効。

(同旨、日特金属工業事件 東京地裁八王子支部 昭和47.10.18)

ただし、女性労働者の職種が本当の意味で余剰化した場合に、退職勧奨や整理解雇を行うことは、差別によるものではない。
(小野田セメント事件・第二判決 仙台高裁 昭和46.11.22)


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