改正労働基準法解説レポート

令和5年4月1日から、月60時間超の割増賃金率の引き上げが中小企業にも適用となります。
法改正による新制度の導入方法について、詳しく解説したマニュアルを無料提供しています。
サンプル条文や改訂例を参考に、就業規則の改訂を行ってください。

訪問介護労働者や短時間正社員の労働時間

訪問介護労働者の労働時間

労働条件の明示が不十分であることなどから問題が生じることがあります。通達では、労働時間について、以下のように指示されています。

労働時間及びその把握

訪問介護事業においては、非定型的パートタイムヘルパー等が訪問介護の業務に直接従事する時間以外の時間を労働時間としていないものが認められるところであるが、訪問介護労働者の移動時間や業務報告書等の作成時間などについて、以下のアからエにより労働時間に該当する場合には、適正にこれを把握する必要があること(法第32条)。

ア 移動時間

移動時間とは、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間をいい、この移動時間については、使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当するものであること。

具体的には、使用者の指揮監督の実態により判断するものであり、例えば、訪問介護の業務に従事するため、事業場から利用者宅への移動に要した時間や一つの利用者から次の利用者宅への移動時間であって、その時間が通常の移動に要する時間程度である場合には労働時間に該当するものと考えられること。

イ 業務報告書等の作成時間

業務報告書等を作成する時間については、その作成が介護保険制度や業務規定等により業務上義務付けられているものであって、使用者の指揮監督に基づき、事業場や利用者宅等において作成している場合には、労働時間に該当するものであること。

ウ 待機時間

待機時間については、使用者が急な需要等に対応するため事業場等において待機を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当するものであること。

エ 研修時間

研修時間については、使用者の明示的な指示に基づいて行われる場合は、労働時間であること。また、研修を受講しないことに対する就業規則上の制裁等の不利益な取扱いがある場合や研修内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより、本人の業務に具体的に支障が生じるなど実質的に使用者から出席の強制があると認められる場合などは、たとえ使用者の明示的な指示がなくとも労働時間に該当するものであること。

(訪問介護労働者の法定労働条件の確保について 基発第0827001号 )


短時間正社員の労働時間

ワークシェアリングの考え方から、正社員でありながら短時間勤務をするという、新しい働き方のバリエーションが模索されています。

厚生労働省 多様な働き方を応援

厚生労働省は、企業の「短時間正社員制度」導入支援のため、同制度の概要や取組事例、導入手順などについて情報提供する支援サイトを開設した。

この制度は、育児や介護をなどの制約によって就業の継続ができなかった人や就業機会を得られなかった人が、ライフスタイルやライフステージに応じた多様な働き方を実現できる制度として、また、企業にとっても人材定着や組織活性化に効果が見込める人事制度として期待されている。

2007年12月に仕事と生活の調和推進官民トップ会議が策定した「仕事と生活の調和推進のための行動指針」では、この制度が多様な働き方の一つとにあげられ、国はその推進のための条件整備を行い、短時間勤務を選択できる事業所の割合を2012年に10%、17年には25%とすることとされている。

同サイトにアクセスすると、短時間正社員制度とはどういうものか、導入のメリットは何かなどの制度概要や、導入企業の取り組み事例を閲覧できる。また、事業主が制度導入の参考にできるよう導入手順や留意点などが解説されている。

(読売新聞 2008.12.10)


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