改正労働基準法解説レポート

令和5年4月1日から、月60時間超の割増賃金率の引き上げが中小企業にも適用となります。
法改正による新制度の導入方法について、詳しく解説したマニュアルを無料提供しています。
サンプル条文や改訂例を参考に、就業規則の改訂を行ってください。

特別勤務に対する割増賃金

前日から継続した労働は、前日の超過勤務となる

従業員をいったん帰宅させた後、不測の事態により呼び戻し、暦日を超えて勤務させる場合があります。

次は、勤務終了後、労働者を呼び戻して特別勤務させたケースです。

特別勤務の取り扱い

  • 正規の勤務時間 8:00~17:00(12:00~13:00が休憩)
  • 不測の事態から、21:00~am1:00まで勤務させた
特別勤務の取り扱い

労働が継続して翌日まで及んだ場合は、翌日の所定労働時間始業時刻までは、前日の超過勤務として取り扱われます。

上記の例では、21時以降については時間外割増の支給が必要ですし、22時を過ぎてからは深夜割増が必要です。

翌日が法定休日に当たる場合

午前0時以降は休日労働として35%増(+深夜労働)になります。

逆に法定休日の労働が翌日にずれこんだ場合は、午前0時以降は25%増(+深夜労働)となります。


一昼夜交替勤務に従事する場合の割増賃金の取扱い

一昼夜交替勤務(午前8時から翌日の午前8時までの勤務で、翌日は非番となる勤務)に就く者への割増賃金は、深夜(午後10時~翌午前5時)割増の25%が必要ですが、時間外労働には該当しないため、時間外の割増賃金は要しません。

なお、鉄道事業における一昼夜交替勤務に設定されている仮眠(睡眠)時間は、休憩時間とみなし、割増賃金の支払いを要しない(昭和23.4.5 基発第537号)とする解釈例規があります。

また「守衛等の24時間勤務者については、就業規則等により深夜の割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合は、別に深夜の割増賃金を支払う必要はない。」(昭和23.10.14 基発第1506号)とするものがあります。


8時間3交替制勤務、旅館ホテル業、自動車運転者に認められている休日労働の特例について

8時間3交替制勤務の休日労働の取扱特例

3交替連続操業を行う事業場の休日の取扱いに関しては、「継続24時間の休息を与えればよいとされており、その休息期間中に暦日による継続24時間がある場合には、その暦日を法定休日として取り扱う」(昭和63.3.14 基発第150号)こととなっています。

この場合、継続24時間が確保されなくなることになった労働を行った部分が、3割5分以上の割増賃金を支払うべき休日労働として取り扱われます。

旅館・ホテルにおける休日労働の取扱特例

旅館業のフロント、調理、仲番及び客室係に限定した当分の間の特例として、正午~翌日の正午までの継続24時間を含む27時間以上の休息時間が確保されている場合について、これを休日として認められますが、この場合、「正午~翌日の正午までの継続24時間の休息時間中に労働した部分が3割5分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となる。」(平成6.5.31 基発第331号)とされます。

自動車運転者の休日労働の取扱特例

自動車運転者について、通常勤務の場合は連続した労働義務のない32時間を、隔日勤務の場合は連続した労働義務のない44時間を、休日として取り扱うとされています(平成1.3.1 基発第93号)が、この場合に32時間又は44時間のうちに暦日24時間が含まれる場合は当該暦日24時間を休日として、その日の労働が3割5分以上の割増賃金を支払うべき休日労働となります。

暦日24時間が含まれない場合の取扱いは、継続24時間が確保されなくなった限りにおいて当該部分が3割5分以上の割増賃金を支払うべき休日労働として取り扱われます。


ページの先頭へ