改正労働基準法解説レポート

令和5年4月1日から、月60時間超の割増賃金率の引き上げが中小企業にも適用となります。
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計画的付与の協定(例)

一斉付与方針

○○製作所株式会社と○○製作所労働組合とは、標記に関して次の通り協定する。

  1. 当社の本社に勤務する社員が有する○年度の年次有給休暇のうち4日分については、次の日に与えるものとする。
    4月26日、30日、5月2日、7日
  2. 当社社員であって、その有する年次有給休暇の日数から5日を差し引いた残日数が[4日」に満たないものについては、その不足する日数の限度内で、第1項に掲げる日に特別有給休暇を与える。
  3. この協定に定めにかかわらず、業務上やむを得ない事由のため指定日に出勤を必要とするときは、会社は組合と協議の上、第1項に定める指定日を変更するものとする。

○年○月○日

○○製作所株式会社
総務部長 ○○○○

○○製作所労働組合
執行委員長 ○○○○


 

グループ別付与方式の場合

○○商事株式会社と同商事従業員代表○○○○とは、標記に関して次の通り協定する。

  1. 各課において、その所属の社員をA、Bの2グループに分けるものとする。その調整と決定は各課長が行う。
  2. 各社員が保有する○年度の年次有給休暇のうち5日分については各グループの区分に応じて、次表の通り与えるものとする。
    Aグループ・・・8月5日~9日
    Bグループ・・・8月12日~16日
  3. 社員のうち、その保有する年次有給休暇の日数から5日を差し引いた日数が「5日」に満たないものについては、その不足する日数の限度で、第2項に掲げる日に特別有給休暇を与える。
  4. この協定の定めにかかわらず、業務執行上やむを得ない事由のため指定日に出勤を必要とするときは、会社は従業員代表と協議の上、第2項に定める指定日を変更するものとする。

○年○月○日

○○商事株式会社
総務部長 ○○○○

○○商事株式会社
従業員代表 ○○○○

○○販売株式会社と○○販売労働組合は、標記に関して次の通り協定する。

  1. 当社の従業員が保有する○年度の年次有給休暇(以下「年休」という。)のうち、5日を超える部分については5日を限度として計画的に付与するものとする。
  2. 年休の計画付与の期間は、7月1日から9月30日までとする。
  3. 各所属長は、所属組合員の年休取得希望日が特定の時期に集中し、業務の正常な運営に支障を与えるおそれがあると認められた場合には、組合員に対して希望日の変更を求めることができる。各所属長は、希望日の変更を求める場合は6月30日までに組合員にその旨通知するものとする。
  4. 本年度の年休の日数から5日を控除した日数が「5日」に満たない組合員に対しては、その不足する日数の限度で、第2項の期間中に特別有給休暇を与える。
  5. 各所属長は、所属組合員の年次有給休暇表を作成し、組合員に掲示するものとする。

○年○月○日

○○販売株式会社
総務部長 ○○○○

○○販売労働組合
委員長 ○○○○


計画的付与制度を利用した夏季休暇のモデル協定(例)

○○株式会社代表取締役と、○○株式会社従業員代表○○○は、従業員の休養及び健康の維持増進を目的として、夏季一斉休暇を実施することとし、これに関し次の通り協定する。

第1条
○年8月12日から8月20日までを、夏季一斉休暇期間とする。

第2条
第1条の休暇期間のうち、8月14日、8月15日は、夏季休暇用特別休日とする。

第3条
第1条の休暇期間のうち、8月16日、8月17日は、年次有給休暇の振り当て日(以下「年休振り当て日」という。)とする。
2 従業員は、前項に規定する年休振り当て日につき、年次有給休暇を請求するものとする。

第4条
前条第2項の規定にかかわらず、4月1日現在に有する年次有給休暇の日数から5日を控除した残りの日数が年休振り当て日の日数に満たない組合員に対しては、その年休振り当て日の日数と年次有給休暇請求日数との差については、有給の特別休暇とする。
2 当初より、本事業場における年次有給休暇の権利を有さない従業員については、年休振り当て日は有給の特別休暇とする。

第5条
前条までの規定に基づき年次有給休暇を請求するものとなっている者で該当条項に規定する日数分の年次有給休暇を請求しない者については、その部分について無給の特別休暇とする。

第6条
有給の特別休暇日は、就業規則の定めるところによる所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金が支払われるものとする。
2 無給の特別休暇は、前項に規定する賃金が支払われないものとする。

第7条
本協定の有効期間は、○年4月1日から○年3月31日までとする。

○年○月○日

○○株式会社  従業員代表 ○○○○  印

○○株式会社  代表取締役 ○○○○  印


実際の協定(例)

第○条(年次休暇の一斉使用)
毎年度の年次休暇のうち、その一部についてあらかじめ時季を特定し一斉使用日を設けることがある。細部については、「年次休暇の一斉使用に関する協定」による。

年次休暇の一斉使用に関する協定

第1条(年次休暇の一斉使用)
年次休暇の有効活用のため、組合員は各人の保有する年次休暇のうち2日間を夏季の特定日に一斉使用するものとする。
ただし、次の各号の一に該当する組合員を除く。
(1) 業務の性格上当然勤務すべき者(警備員、変電所勤務者、寮・クラブ・保養所勤務者)
(2) 国内出向者
(3) 海外勤務者(駐在員、工事派遣者、出向者)
(4) 海外出張中の者
(5) 特定日前からの休職者

第2条(一斉使用日の特定)
単年度の年次休暇の一斉使用日は、「年間休日に関する協定書」において特定する。
2 前項の年次休暇については、休暇年度開始時、又は年次休暇の付与時の日数から、2日間をあらかじめ差し引く。なお、繰越日数があるときは、繰越分から優先的に差し引くものとする。

第3条(特定日の勤務)
会社は業務上の都合で組合員の一部に特定日の勤務を命ずることがある。この際は、事前に会社は組合と協議する。

第4条(特定日当日の取扱い)
特定日の取扱いは、次による。
(1) 特定日当日の入退場手続、福利厚生等(給食、医療、冷暖房など)については休日と同一扱いとするほか、始終業時刻、就業時間、その他については通常日と同様とする。
(2) 試用期間中の者については、前条により、特に勤務を命じた者のほか、会社都合休業日扱いとし、賃金協約に定める賃金取扱いとする。

第5条(特別休暇等との重複)
特定日が特別休暇等と重複したときの取扱いは、次による。
(1) 特別休暇 特別休暇による
(2) B当直翌日休業日 B当直による
(3) 徹夜翌日休業日 原則として、徹夜翌日休業日とする
(4) 有事夜勤あけ休業日 原則として、会社都合休日とする

第6条(休暇・欠勤カードの取扱い)
休暇欠勤カードの取扱いは、次による。
(1) 新休暇年度の「休暇・欠勤カード」を配布する際、又は年次休暇の付与時、理由欄に「トクテイ」とあらかじめ印刷する。
(2) 特定日の1週間前までに、組合員は年次休暇カードに押印し、所属長へ提出する。


個人付与型の例

一、期間
各年度とも1月1日から12月末日までの12か月をサイクルとする。

二、対象と内容
〔表・略。例えば、製作所勤務で勤続10年以上・年休保有21日以上の者は年1回5日(土・日曜の週休とあわせて9日)の連続有休〕

三、その他の条件
(1) 勤続年数及び有休保有日数は毎年1月1日を基準として判断する。
(2) 年間連続休日(例えば5月連休、8月連休など)・年末年始休暇その他会社が認めている特別休暇と連続されて取得することができないものとする。

四、取得時期の調整
(1) 取得時季については会社の業務に影響を与えないよう、所属長及び本人が充分に話し合い、会社が決定する。
(2) 出先部門についても基本的には前項と同様であるが、営業部門の特殊性から年間2か月間の適用除外期間を設定する。
適用除外期間は6~8月のうちから、それぞれの所属長がその事業所の地域性、特殊性から決定する1か月間と全国一律の12月の2か月間とする。
(3) 取得スケジュール編成後の変更

  1. 原則として本人都合による変更は認めない。
  2. 会社の業務都合による変更は以下の条件の場合、取得予定の2週間前までは変更しうるものとする。
    (a) 人事異動などにより、他の職場へ移った場合、退職などによって職場内にアンバランスが生じる場合。
    (b) 組織の改変があり、同一職場にアンバランスが生じる場合。

五、取得順序の調整
取得日の順序の調整については、勤続年数の長い者から、また、勤続年数の同じ者は、有給休暇保有日数の多い者から優先する。


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