御國ハイヤー事件(最高裁 昭和58.7.15)

概 要

「退職金は、退職時の基本月給額に勤続年数を乗じて得た金額とする」旨規定する退職金支給規程(就業規則)を使用者において従業員の同意を得ないまま廃止し、廃止日までの就労期間に対応する退職金は支払うが、廃止の翌日以降の就労期間は退職金算定の基礎となる勤続年数に算入しないこととした。

判 決

退職金支給規定の右変更は、従業員に対し、変更実施日以降の就労期間が退職金算定の基礎となる勤続年数に算入されなくなるという不利益を一方的に課するものであるにもかかわらず、使用者はその代償となる労働条件を何ら提供しておらず、また、右不利益を是認させるような特別の事情も認められないから、合理的なものということができず、右従業員に対し効力を生じないと判示した原審の認定判断は、正当として是認できる。


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