連合の労働契約法案

判例等に示された基準を整理

国の研究会に先行して示された連合の労働契約法(案)の骨子は、次のようになっています。

(1) 労働契約は、期間の定めのないものが原則
(2) 求人広告に書かれた労働条件以下での労働契約締結は、禁止
(3) 労働者が採用内定に承諾を与えた時に、労働契約は成立
(4) 試用期間は、3ヶ月以内
(5) 労働契約内容の変更には、労働者の合意が必要
(6) 転居を伴う配置転換には、労働者の同意が必要
(7) 出向には労働者の承諾が必要
(8) 転籍には、労働者の同意が必要
(9) 正当な理由がなければ労働者は解雇できない
(10) 労働者個人の非違行為を理由とする解雇でも、一定の手続きが必要
(11) 整理解雇については「整理解雇の四要件」が必要
(12) 解雇予告期間は、60日
(13) 使用者は、解雇理由と被解雇対象に選定された理由を書面で労働者に渡さなければならない
(14) 労働者が嫌がらせなどによって会社を自分から辞めた場合、使用者による解雇とみなす
(15) 罰則を設けることが適切な状況について、罰則を設ける

労使の考え方の違い

日本経団連 連 合
労働契約法の必要性 個別労働紛争を減らすなど、実効性のある制度であれば必要
雇用の入り口から出口まで網羅する大きな法体系にする必要性については疑問
労使紛争増加の要因は労働契約に関するルールの未整備が主要因であり、労働契約の成立、展開、終了まで包括する法体系が必要
労働契約法の性格・機能(原則) 任意規定
手続・実体規制および罰則なし
強行規定
手続・実体規制/罰則もありえる
常設の労使委員会 労使自治の原告のもと、各企業の実情にあった労使協議の場を設けるべきであり、形ばかりの導入は紛争の種になりかねない 使用者と実質的な対等制の確保、真の労働者代表の民主的な選出方法など、具体的なルールが必要
労働組合との関係も明確に
解雇の金銭解決制度 早急に導入すべき
労働者個人の選択なので事前の集団的労使合意は不要
雇用関係を継続しがたい場合に要件を限ることは反対
導入反対
労働審判制度や裁判上の和解でも金銭解決は可能
とくに使用者からの金銭解決は「金さえ払えば解雇できる」という風潮を生む
雇用継続型契約変更制度 慎重に検討すべき
本来認められる解雇の規制になるのであれば反対
現実性に疑問
労働者にとっては、解雇を背景に労働条件の変更を求められることになりかねず反対
労働基準法(労働時間法制)の見直し 一定の労働者について労働時間規制の適用除外とするホワイトカラーエグゼンプションを導入すべき 労働時間規制の見直しは、労働契約法の検討範囲外
ホワイトカラーエグゼンプション導入には反対
労使の対等性 労働者は必ずしも社会的弱者ではない
契約法だから労使双方に義務を課すべき
労働者は労務を提供して報酬を得る経済的従属制がある
労使は対等ではなく、自主的に労働条件を決められる労働者は少数

賃金実務(2005.11.15 No.981)より


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