公民権行使による解雇について
公民権行使による懲戒解雇は無効
以下の最高裁判例から、懲戒解雇はできないと判断されます。
ただし、権利行使が著しく会社業務に影響を与えると判断される場合は、普通解雇とされる可能性はあります。
休職制度などを整備した上で、問題が起こらないようにするとよいでしょう。
社会保険新報事件 浦和地裁 昭和55.3.7
従業員が市議会議員に当選・就任したことを理由とする普通解雇。
裁判所は、業務に著しく支障を与える場合にあたるので、普通解雇が有効であるとした。
十和田観光事件 最高裁 昭和38.6.21
従業員が市議会議員選挙に立候補し当選した。
会社は「従業員が会社の承認を得ずに公職に就任した場合は懲戒解雇する」という就業規則の規定により、この者を懲戒解雇とした。
最高裁は、労基法7条が労働時間中の公民権の行使と公の職務の執行を認めていることを引き合いに出し、就業規則の条項が法の趣旨に反し無効だとした。
ただし、公職に就任することが会社業務を著しく阻害することによる普通解雇はありうると言及している。