派遣社員と就業条件

派遣が決定したスタッフに対し派遣元が明示する

派遣労働者に対して明示しなければならない就業条件は次のように決められています。

明示は書面交付により行わなければなりません。

緊急の必要から書面交付ができない場合は、あらかじめ書面以外の方法で明示せざるを得ませんが、この場合も、労働者から請求があった場合は、遅滞なく書面交付しなければならないとされています。

(1) 業務内容
(2) 事業所名称・所在地・就業場所
(3) 派遣先の指揮命令者
(4) 派遣期間と就業日
(5) 就業開始・終了の時刻と休憩時間
(6) 安全衛生
(7) 苦情処理
(8) 契約解除における雇用安定措置
(9) 派遣元責任者と派遣先責任者
(10) 決められた日以外の就業、勤務時間の延長
(11) 福祉増進のための便宜供与
(12) ・派遣期間の制限を受けない業務への派遣
・物の製造への派遣
・中高年臨時措置の対象となる派遣

労働者派遣をしようとする場合に、あらかじめ当該派遣労働者に就業条件の明示を行わなかったときは、30万円以下の罰金 となっています。(派遣法61条)


就業条件明示書の作成例

就業条件明示書の作成例

就業条件記載要領(例)

(1) 各欄において複数項目の一を選択する場合には当該項目に○を付すこと。

(2) 「業務内容」欄には、派遣先において従事する業務の内容、その業務に必要とされる能力等を具体的に記載すること。

(3) 「就業の場所」欄には、主な就業場所を記載するものとし、それ以外に出張等により就業の場所が異なることがある場合には、備考欄に記載すること。

(4) 「就業日」は、具体的な曜日又は日を記載すること。

(5) 「安全及び衛生」欄には、次の事項のうち、派遣労働者が派遣先において業務を遂行するに当たって、当該派遣労働者の安全、衛生を確保するために必要な事項に関し、就業条件を記載すること。

  • 危険又は健康障害を防止するための措置に関する事項
    (例えば、危険有害業務に従事させる場合には、当該健康診断の実施に関する事項等)
  • 健康診断の実施等健康管理に関する事項
    (例えば、有害業務従事者に対する特別な健康診断が必要な業務に就かせる場合には、当該健康診断の実施に関する事項等)
  • 換気、採光、照明等作業環境管理に関する事項
  • 安全衛生教育に関する事項
    (例えば、派遣元及び派遣先で実施する安全衛生教育の内容等)
  • 免許の取得、技能講習の終了の有無等就業制限に関する事項
    (例えば、就業制限業務を行わせる場合には、当該業務を行うための免許や技能講習の種類等)
  • 安全衛生管理体制に関する事項
  • その他派遣労働者の安全及び衛生を確保するために必要な事項

(6) 「時間外・休日労働」については、(5)の派遣就業をする日以外の日に派遣就業をさせることができ、又は派遣就業の開始の時刻から終了の時刻までの時間を延長することができる旨の定めを労働者派遣契約書において行った場合には、当該派遣就業をさせることができる日又は延長することができる時間数を記載すること。
なお、労働者派遣契約においてこの定めをする場合には、当該定めの内容が派遣元事業主と派遣労働者との間の労働契約又は派遣元事業場における36協定により定められている内容範囲内であることが必要である。

(7) 「派遣責任者」は、派遣先責任者の選任を要しない場合であっても、派遣先責任者が選任されている場合には記載すること。

(8) 「福利厚生施設の利用等」欄には、派遣先が派遣労働者に対し、診療所、給食施設等の施設であって現に派遣先に雇用される労働者が通常利用しているものの利用、レクリエーション等に関する施設又は施設の利用、制服の貸与その他の派遣労働者の福祉の増進のための便宜を提供する旨の定めを労働者派遣契約において行った場合には、その定めを記載すること。

(9) 「苦情の処理・申出先」欄には、派遣労働者から苦情の申出を受けた場合の苦情の処理について、労働者派遣契約に定めた苦情の申出先、苦情の処理方法、派遣元事業主と派遣先の連携体制等を具体的に記載すること。

(10) 「派遣契約解除の場合の措置」欄には、派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由による労働者派遣契約の解除が行われた場合には派遣先と連携して新たな就業機会の確保を図ること、労働者派遣契約の解除に伴う解雇を行った場合には労働基準法等に基づく責任を果たすこと等派遣労働者の雇用の安定を図るための措置を具体的に記載すること。

(11) 「備考」欄

(1) 労働者派遣の役務の提供の期間の制限を受けない業務又は者の製造の業務について労働者派遣を行う場合は、それぞれ必要事項を「備考」欄に記載すること。

  • 政令で定める業務について労働者派遣を行う場合は、政令の号番号を必ず付すること。
  • 事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務について労働者派遣を行う場合は、その旨を記載すること。
  • その業務が1ヶ月間に行われる日数が当該派遣就業に係る派遣先の労働者の1ヶ月間の所定労働時間に比し相当程度少なくかつ月10日以下である業務について労働者派遣を行う場合は、(i)その旨、(ii)当該派遣先においてその業務が1ヶ月間に行われる日数、(iii)当該派遣先の通常の労働者の1ヶ月間の所定労働日数を記載すること
  • 産前産後休業、育児休業等の代替要員としての業務について労働者派遣を行う場合は、派遣先において休業する労働者の氏名及び業務並びに当該休業の開始及び終了の日を記載すること。
  • 介護休業等の代替要員としての業務について労働者派遣を行う場合は、派遣先において休業する労働者の氏名及び業務並びに当該休業の開始及び終了予定の日を記載すること

(2) 紹介予定派遣に係る労働者派遣である場合には、(i)紹介予定派遣である旨、(ii)紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に予定される雇用契約の期間の定めの有無等の労働者派遣契約において定めた紹介予定派遣に関する事項、(iii)紹介予定派遣を受けた派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受ける者を雇用しなかった場合には、それぞれのその理由を、派遣労働者の求めに応じ、書面の付により、派遣労働者に対して明示する旨、(iv)紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に、年次有給休暇及び退職金の取扱いについて、労働者派遣の期間を勤務期間に含めて算入する場合はその旨を「備考」欄に記載すること。

(12) 個々の派遣労働者に明示される就業条件は、労働者派遣契約の定めた就業条件の範囲内でなければならないこと。


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