臨時工・臨時職員とは

更新が繰り返されると、雇止めに制約が生じる

臨時工・臨時職員(あわせて「臨時従業員」という)とは、一般的には、1年以内の雇用期間を定めて臨時に雇用された従業員です。

したがって、本来は、雇用期間の満了とともに雇用契約が終了するはずなのですが、企業の必要に応じて雇用契約が更新されることもしばしばあります。

更新が繰り返されていた場合は、雇用期間満了によって契約を終了させるいわゆる「雇止め」に対して法律上の制約が加えられるケースも出ます。

東芝柳町工場事件 最高裁 昭和49.7.22

期間臨時工が2ヶ月の期間満了によって雇止めされた事例は見あたらず、希望するもののほとんどが長期間雇用・・・採用に際して、会社側に、長期継続雇用、本工への登用を期待させるような言動あり・・・契約期間満了の都度、直ちに新契約締結の手続きをとったわけではない。

したがって、あたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状況が存在していたものといわなければならず・・・本件雇止めにあたっては、解雇に関する法理を類推すべきである。

日立メディコ事件 最高裁 昭和61.12.4

期間2ヶ月の労働契約が5回更新されていた事例。

5回にわたる契約の更新によって、本件労働契約が期間の定めのない契約に転化したり、実質的にそれと異ならない関係が生じたわけではない。

比較的簡易は採用手続で締結された短期間有期契約を前提とするものである以上、雇止めの効果を判断すべき基準は、いわゆる終身雇用の期待の下に期間の定めのない労働契約を締結しているいわゆる本工を解雇する場合とはおのずから合理的な差異があるべきである。

※ただし、雇止めについては、何らかの相当する理由が必要。


反復された更新の拒否が解雇にならない場合

最終更新にあたる更新の際に、「今回の更新をもって最終とし○月○日をもって本契約は終了する」とか「最終更新であることを承認し、以降の更新を行わないことを承諾する」といった合意がある場合には、自動的に退職となり、「解雇」には該当しなくなります。

ただし、国のパート指針では、1年をこえる継続勤務の場合、契約を更新しないときは、予告すべき旨の努力義務が定められています。

なお、労働者側が最終更新とする旨の特約に合意しなかったときでも、再度の更新はしない旨をその際に明確に通知しておくならば、「解雇の予告」としての効力をもつことになるので、それが30日以上の期間があり、更新できないことに相当な理由があれば、有効な雇止め(解雇)となり、予告期間の満了によって当該契約は終了することとなります。(昭和27.2.2 基収503号)


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