労働者性の裁判の状況

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労働者性の裁判の状況


個別的に判断されている

労働者性を巡る裁判は多数ありますが、個別の事例ごとに判断されているというのが実情です。

個別事案によって、労働者性が肯定されたり否定されたりしています。


労働者性肯定例


メガネドラッグ事件 東京地裁 平成13.7.13

メガネ会社とコンタクトレンズ等購入時健診を実施する医師との契約が労働契約と判断された。


チボリ・ジャパン(楽団員)事件 岡山地裁 平成13.5.16

楽団員との契約について、演奏回数、日時、曲目、演奏順、楽団員編成等が決定されており、報酬と労務提供と対価性が認められ、労働契約と認定された。


泉証券事件 大阪地裁平成11.7.19

証券会社の営業嘱託従業員

時間的拘束、出勤簿の押印、外出や休務時の届出の指示があったこと、報酬に固定給部分があることなどから、労働者に当たるとされた。


安田病院事件 最高裁 平成10.9.8

病院付添婦と病院との間の契約は労働契約であり、「言動が意に添わない」として契約を解除したのは解雇に当たる。


タオヒューマンシステムズ事件 東京地裁 平成9.9.26

ゲーム作成プログラマー

作業は社内で行い、会社の器材を使用していたこと、タイムカードへの記載を指示されていたこと等により、労働者性があるとされた。


羽柴事件 大阪地裁 平成9.7.25

コンピュータ技術者とコンピュータソフトウエア開発業者との契約は、準委任契約ではなく雇用契約関係である。


大栄金属工業所事件 大阪地裁 平成2.2.7

鋳型の修理工

仕事の拒否が出来ないこと、就労の場所が決まっていたこと、原告が労務を提供するだけで、設備費・電気代等は会社持ちだったことなどから労働者とされた。


中部ロアイヤル事件 名古屋地裁 平成6.6.3

パン類を外交員として販売し、販売実績に応じて販売手数料を受ける旨の外交員契約が、労働契約か販売委託契約かが争われた。

次の理由から、労働契約であり、手数料は賃金に該当するとされた。

(1)契約書には独立の営業主として扱う趣旨の規程がなかった。

(2)新規開拓顧客は、会社の顧客名簿に登録され、外交員契約の解約時には会社に引き継がれることになっていた。

(3)単純な販売作業に従事し、歩合手数料・半期手数料・退職慰労金の給付を受けたこと、それらは出来高に応じて給付額が確定する。


実正事件 高松高裁 平成8.11.29

寺の受付

時間外手当の支払いを求めた従業員が、「宗教上の奉仕者であって労働者ではない」と拒否された事件で、労働者に当たるかは、具体的な労働条件によって決められるとし、その結果、労働者であるとされた。


セキノ興産事件 富山地裁 昭和49.2.22

自己所有のトラックを持ち込んで業務を行うトラック運転者の労働者性が認められた事案。

  • 勤務時間が午前9時から午後5時30分と義務づけられている
  • 毎日会社の配車係から配達先、配達内容などの指示を受け、積み込み、配達に従事するが、かたわら集金、注文取りなどの業務を行う
  • 配達には、会社の助手が就くことがあり、逆に会社の自動車の助手に就いたり、他の自動車を運転することがある
  • 当日の配達が終わっても、午後5時30分までは加工作業の手伝いなどを行わせられることも多い
  • 報酬は他の従業員に比しても必ずしも高いものでなく、ロッカーの配置、使用などは同じ待遇であった

などの理由で、雇用契約に自動車貸借契約を含んだ一種の混合契約であったとして、労働者性を認めた。


太平洋製紙事件 最高裁 昭和37.5.18

職務内容が塗装機械用の塗装製法の指導、塗料の研究であり、一般従業員とは異なって直接加工部長の指揮命令に服することなく、むしろ同部長の相談役ともいうべき立場であった。

週6日間、朝9時から夕方4時まで勤務し、毎月一定の本給に加えて残業手当の支給を受けていたことを理由に嘱託契約が雇用契約であるとして、労働者性が認められた。


労働者性否定例


西日本旅客鉄道事件 東京地裁 平成17.3.30

下請会社の従業員が加入する労働組合が、元請会社に対して雇用確保等に関する団体交渉を申し入れたが、これを拒否された。

不当労働行為に当たるとして、地労委に救済申立をしたところ、地労委がこの申立を棄却し、さらに中労委も棄却したため、裁判所に取消を求めた。

裁判所は、元請会社は、ここに出張作業していた下請会社の従業員の基本的労働条件等について、雇用主である下請会社と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にはなく、労働組合法上の使用者には該当しないから、命令は適法だとし、請求を棄却した。


NHK盛岡放送局事件 仙台高裁 平成16.9.29

放送受信契約の取次業務を行っていた者とNHKとの間の関係が労働契約にあたるか、ということが争点となった。

一審は原告の地位確認請求を退けた。

二審も、一審を維持した。

その根拠として、放送受信料の集金業務を行う受信者は、次の条件のもとに働いていることを挙げた。

(1)就業規則が適用されない

(2)業務の遂行時間・場所・方法等は、受託者の自己裁量

(3)受信料の収納等について中心的業務については、あらかじめ具体的に限定されている

さらに、

(4)NHKからの指示について、受託者は拒否する自由がある

(5)受託者の報酬にNHK職員の給与規定は適用されない

(6)受託者は、収入を確定申告している

(7)受託者は業務の再委託や兼業も自由

こうしたことから、この契約関係は(準)委託契約と請負契約の混合契約とでもいうべきだとされた。


NHK西東京営業センター(受信料集金等受託者)事件 東京高裁 平成15.8.27 東京地裁八王子支部 平成14.11.18

受託者(集金人)と委託者との間に使用従属関係を認められないことから、契約解除に解雇法理を適用しない。

受信料の集金および受診契約の取次業務に関する委託契約においては、契約の重要かつ本質部分にわたって労働契約とは相容れない異質の諸事情が認められるところからすれば、たとえ、受託者との委託業務につき放送法等による要請上、その自由な意思の及ばない部分があるとしても、委託者と受託者との間に使用従属関係を認めることはできないから、本件委託契約が労働契約あることを前提とする契約を解約された控訴人の本件請求(解雇無効・賃金支払)は、その前提を欠くものとして理由がない。

一審判決を正当として、控訴が棄却された。


東海技研事件 大阪地裁 平成15.8.1

住宅設備機器の取り付け工事等を業とする会社の委託販売員は業務実態からすると、会社との間に使用従属関係があるということはできず、委任ないしこれに準ずる契約であって、実質的に雇用契約であると評価することはできない。


加部建材・三井道路事件 東京地裁 平成15.6.9

ダンプ持ち込みの原告は、会社の一般的指揮命令下で働いていたとはいえず、労働契約ではない。

暴力行為等を理由とする委託契約解除は解雇に該当しないとされた。


台東区シルバー人材センター事件 東京地裁 平成15.5.20

シルバー人材センターの正会員とセンターとの関係は雇用契約とは認められず、翌年度以降の業務委託契約の提供はできない旨の通告は、解雇の意思表示には当たらない。


関西棋院事件 神戸地裁尼崎支部 平成15.2.14

プロ棋士と関西棋院との関係は雇用または雇用類似の契約とはいえないから、棋士が当然、厚生年金に被保険者資格を有するとはいえない。


直し家本舗事件 大阪地裁 平成15.5.21

建築請負業を営む控訴人らは、当該屋号の下で共同して仕事をしていたこと、指揮監督をする者は特に決まっていなかったこと、受け取る金額は同一の基準により計算されていたこと等からすると、控訴人と非行訴人との間に使用従属関係があったとはできないから、雇用関係もなく、未払賃金請求については棄却する。


アイティット事件 東京地裁 平成13.10.29

原告と、システム開発の人材派遣会社との間の会計システム開発プログラミング業務に係る「開発委託契約」が雇用契約とは認められなかった。


小川電設事件 大阪地裁 平成12.5.19

労務単価契約で電設工事に従事していた原告の契約は、被告の指示のもと作業用具提供を受けていても、雇用契約とは認められない。


横浜南労基署長(旭紙業)事件 最高裁 平成8.11.28

トラック持ち込み、会社の指示に従って製品等の運送に従事していた運転手について労災保険法上の労働者性が争われた。


太平洋証券事件 大阪地裁 平成7.6.19

証券会社の外務員

会社の名誉と信用を害し、会社の業績向上を阻害する恐れのある行為を行った外務員の更新拒否について争われた。


パピルス事件 東京地裁 平成5.7.23

以下の理由により、業務委託契約であるとされた。

(1)会社の求人広告による正社員の採用とは別のルートで採用された。

(2)時間管理の拘束や具体的な指揮命令は受けていなかった。

(3)給与名目の金員から健康保険、厚生年金、雇用保険等の社会保険料及び地方税の各控除が行われていなかった。

(4)所得税の源泉徴収についても主たる給与等でない源泉税率表乙欄が適用され、会社が主たる就職先でない扱いがされていたこと。

(5)会社以外の他の業務に従事することも認められていた。


山崎証券事件 最高裁 昭和36.5.25

証券外務員について、指揮命令がなく、出来高給制であることを理由に、雇用契約ではなく、委任もしくは委任類似の契約であり、労働基準法の適用を受ける労働者ではないとした。


過去において労働者か否かが争いとなった事例

  • 証券会社の外交員
  • ヤクルトの訪問販売員
  • 生命保険の外務員・勧誘員
  • 自宅のパソコンで情報処理などを行う在宅勤務者
  • 電気・ガス・水道・NHKの受信料等の集金人
  • 楽団員
  • 売店での新聞・歌詞などの物品販売を行う販売員
  • 清掃用品レンタル業、訪問販売業等
  • 新聞配達人
  • テレビのタイトル・デザイナー
  • ソフトウェア開発者
  • 「社内独立制度」「独立支援制度」に基づく技術者
  • 映画の撮影カメラマン・照明技術者・論音技術者
  • テレビドラマに出演する俳優
  • フランチャイズ契約の事業者
  • 派遣労働者の請負・業務委託への転換
  • 取締役ではあるが、部長等の従業員職をも兼務している者
  • いか釣り漁船の漁夫
  • 授産施設の作業員
  • シルバー人材センターに登録し、警備員等の業務に派遣されている者
  • 研修ビザで入国し労務提供している外国人
  • 看護婦養成所の生徒
  • 労賃総額が坪当たりで単価が積算され、毎月出来高に応じて分割して報酬の支払いを受ける手間請大工
  • トラックを自己所有して、運送業務に従事し、労務費にダンプの維持費用と燃料費等を合算した報酬の支払いを受ける傭車運転手
  • 嘱託契約に基づき役員待遇で塗料の製法指導・研究に従事する嘱託
  • 筆耕従事者
  • 競輪選手
  • 競馬場の厩務員
  • 職人の仕事を手伝う家族

新聞配達人について、配達部数に応じて報酬を与えているのは、単に賃金の支払形態が請負制になっているだけであって、一般に販売店と配達人との間には、使用従属関係が存在し、配達人も本法(※労基法第9条)の労働者である場合が通例である。

(昭和22.11.27 基発400号)


生命保険の外交員は、委任による保険外務員と労働契約による募集職員に区別して、後者は本条(※労基法第9条)にいう労働者

(昭和23.1.9 基発13号)


請負契約によらず、雇用契約により使用従属関係下にある大工は本条(※労基法第9条)の労働者

(昭和23.12.25 基収4281号)


看護婦養成所の生徒については、原則として労働者ではないが、実態においては、次のいずれにも該当する場合を除き、労働者とみるべき場合がある。

(1)実習中といえども、教習及び教習の場所に関係ない作業事務その他雑用に使用されぬこと

(2)生徒の管理について責任者が定められ、生徒の教習と一般看護婦の労働が明確に区別されていること

(昭和24.6.247 基発648号 昭和25.11.1 婦発第291号)


ペリカン便配達員が主婦にストーカー 日通にも賠償命令

「ペリカン便」の配達員にストーカー行為をされ精神的苦痛を受けたとして、東京都内の主婦(30)が、この男と日本通運本社などを相手に計330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。

大垣貴靖裁判官は「日通の関連会社の契約社員だったが、日通の制服を着て配達するなど、本社にも使用者責任がある」と述べ、男と関連会社、本社に計110万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

判決によると、男は日通の関連会社の契約社員だった今年3月、主婦宅に荷物を配達。その日のうちに主婦の自宅を再訪し、荷物の伝票に記載されていた携帯電話に繰り返し電話をかけ、「声がかわいいね」などと話しかけた。その後、もう一度主婦宅を訪れ、ドアをノックした。女性は恐怖から、不眠、神経過敏などの症状が出る急性ストレス障害になった。

判決は「日通が関連会社に『日本通運』の商号の使用を認めたり、身分証明書を出したりしていることなどを考えれば、関連会社の従業員を監督していたと推認できる」と指摘し、関連会社に加えて本社にも使用者責任があると結論付けた。

(asahi.com 2004.10.22)

 
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