有料職業紹介

雇用先に労働者を紹介し、紹介料を受け取る

昭和22年の職業安定法により認められた人材紹介分野です。

民間職業紹介事業者は、前もって求職者と求人企業の求職・求人登録を受け付け、両者の間に立って相互の条件をすり合わせるなどして、雇用関係の成立をあっせんします。

その結果の報酬として、業者は、主に求人側から紹介料を徴収します。

この事業を行うためには、職業安定法30条1項による厚生労働大臣の許可が必要です。

業態としては、次の2種類があります。

人材紹介業 長期的な雇用が見込めるホワイトカラー職種の休職者をあっせんし、比較的高率(紹介した者の年収の20~30%程度)を徴収する。
民営職業紹介業 短期断続的な就業が一般的な配膳人やマネキン、家政婦などサービス等の職種の求職者をあっせんし、低率の紹介料(10%以下)であっせんの回転率を高めて事業を維持する。

マネキン、配膳会など、厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介事業の場合は、求人企業が紹介所に労働者の紹介を依頼し、紹介された労働者は直接雇用先企業の職務に従事することになります。


紹介先企業の直接雇用となる

派遣労働と似ていますが、派遣法の適用はありません。

違いは、有料職業紹介は労働者に雇用希望企業を紹介するだけであり、直接雇用するのは紹介先企業になる、ということです。

かつては、この職業紹介事業と、料理店業・飲食店業・旅館業・古物商・質屋業・貸金業・両替業等との兼業禁止規制がありましたが、平成13年に撤廃されています。逆に、職業紹介事業の許可の欠格事由として、出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項の罪(不法就労助長罪)が追加されました。

有料職業紹介は直接雇用

当然指揮命令は雇用先の企業から出されますし、賃金も雇用先から支払われます。賃金が直接労働者個人に支払われずに、紹介所経由で支払われる場合であっても、紹介所は労働者個人に代わって対価を受領したにすぎません(源泉徴収などは、雇用先の企業となります)。

職業紹介事業者は、原則として求人・求職の申込みをすべて受理しなければならないとされています。(職業安定法5条の5、5条の6第1項)

有料職業紹介

京王プラザホテルほか事件 東京地裁 平成16.4.23

 複数の有料職業紹介業者から配膳人の紹介を受けていたホテルが、紹介を1社に絞るため、登録換えを勧めたことは、不法行為に当たらない。

日本ヒルトンホテル(本訴)事件 東京高裁 平成14.11.26

配膳人と被告ホテルとの間の契約は日々雇用契約であって、労働条件の引き下げに応じない一審原告らとの契約を雇止めにしたことは有効。


求職者から手数料が徴収できるのは

求職者が、芸能家・モデル・経営管理者・科学技術者・熟練技能者(技能検定特級・1級等)の場合、求職者からも手数料が徴収できます。

ただし、経営管理者・科学技術者・熟練技能者の職業に係る休職者については紹介により就職したこれらの職業に係る賃金の額が、年収700万円またはこれに相当する額を超える場合に限られます。


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