家内労働者
請負類似の契約関係になる者で、内職者も含まれる
家内労働者とは、委託者から委託を受け、主として家庭内で賃加工等の仕事に従事することをいいます。
内職者も多くは家内労働者に含まれます。
委託者と受託者(家内労働者)は、請負契約の関係にあります。雇用関係にないので、労働基準法の適用はありません。
しかし、現実には受託者は委託者に対して従属的な地位にあることが多く、劣悪な労働条件に甘んじていました。その過酷な就労の実態が社会問題になり、1970年には家内労働法が制定されました。
家内労働法の内容
家内労働手帳 (委託条件の明示) (3条1項) |
(1)委託業務の内容 (2)工賃単価 (3)工賃の支払期日(払ったときはその額) (4)納品の数量と期日 (5)委託年月日 |
委託打ち切りの予告 (5条) |
6ヶ月を越えて断続的に同一の家内労働者に委託しているときは、この委託を打ち切る場合、委託者は、遅滞なくその旨を家内労働者に予告しなければならない。 ただし、これに違反した場合の罰則はない。 |
就業時間 (4条) |
委託者は、通常の労働時間を超える就業時間となるような委託をしないように努める義務がある。 |
工賃の支払方法 (6条1項) |
原則として通貨で全額を家内労働者に支払わなければならない。 |
工賃の支払時期 (6条2項) |
原則として納品された日から1ヶ月以内に支払わなければならない。 ただし、毎月一定の日を工賃支払日として設定している場合は、締切日から1ヶ月以内に支払わなければならない。 |
最低工賃 (8条1項) |
厚生労働大臣または都道府県労働局長は、一定の地域内で一定の業務に従事する工賃の低い家内労働者の労働条件を改善するために必要があると認めたときは、労働政策審議会または地方家内労働審議会の意見を聴いて、家内労働者と委託者に適用される最低工賃を決定することができる。 |
家内労働者と業務委託との類似性
家内労働者と業務委託契約者は、委託者と請負関係にある個人事業主という共通点があります。
業務を家内労働者に委託する際には、家内労働者には「家内労働手帳」が交付されます。
この手帳には、委託業務の内容、工賃単価、工賃の支払期日、納品の数量と期日、委託年月日を、委託の都度、記入して交付しなければなりません。
6ヶ月を超えて継続的に同一の家内労働者に仕事を委託しているときには、この委託を打ち切る場合、委託者は遅延なくその旨を家内労働者に予告しなければなりません。
家内労働者に対する工賃支払い
家内労働者の工賃は、原則として通貨で全額支払わなければなりません。(家内労働法6条1項)
また、原則として、納品された日から1ヶ月以内に支払わなければなりません。(家内労働法6条2項)
これに対し、業務委託の場合は、現金で支払う必要もなく、小切手でも問題はありません。
労災保険の特別加入
特定の作業に従事する家内労働者と補助者について、労災保険の特別加入ができます。
最低工賃
厚生労働大臣は、家内労働者と委託者に適用される最低工賃を決定することができます。