パートタイマーの税金

パートタイム労働者の年収と税金

パートタイム
労働者の年収
本人の所得が課税となるか 配偶者の所得から
控除が受けられるか
所得税 住民税 配偶者控除 配偶者
特別控除
100万円以下 かからない かからない 受けられる 受けられない
100万円超え
103万円未満
かからない かかる 受けられる 受けられない
103万円 かからない かかる 受けられる 受けられない
103万円超え
141万円未満
かかる かかる 受けられない 受けられる
141万円以上 かかる かかる 受けられない 受けられない

※16年度以降103万円以下の配偶者特別控除は廃止されました。


パートタイマーの所得税

課税の対象となるのは、年収から給与所得控除額(65万円)と基礎控除額(38万円)を差し引いた残額。

年収が103万円以下であれば、所得税はかかりません。


パートタイマーの住民税

所得割

パートの年収が100万円以下だと、住民税はかかりません。

100万円を超えると、パートタイマーの年収から給与所得控除額(65万円)と基礎控除額(33万円)を差し引いた残額が課税の対象となります。

均等割

均等割を納める夫と生計を一にする妻は、これまで均等割は非課税とされてきましたが、平成17年度は2分の1の額が課税され、平成18年度以降、全額課税されるようになりました。

東京都における均等割の額は、平成29年度現在、5,000円(区市町村民税3,500円、都民税1,500円)です。

通勤手当は月額10万円まで非課税扱いとなり、社会保険料(全額)や生命保険料(一定額まで)・損害保険料(一定額まで)は所得から控除できます(所得税・住民税共通)。

103万円以上の収入があった場合は、確定申告を行います。申告しなければ、払いすぎた税金は戻ってきません。


パートの収入と配偶者の所得控除額

パートタイム労働者の年収が103万円を超えると配偶者控除は受けられなくなりますが、家計全体としての税負担が急激に増加することのないように配偶者特別控除が設けられています。

この控除が受けられるのは、パートタイム労働者の年収が141万円未満で、配偶者の所得が1,000万円以下(その年収が給与収入のみの者の場合は、年収1,230万円以下)の場合です。

配偶者特別控除は、パートタイム労働者の年収に応じて調整されるもので、一律ではありません。

配偶者特別控除により、税制上の「手取りの逆転現象」(パートタイム労働者本人の収入が一定額を超えると、かえって世帯全体の手取りが減少する現象)は解消されています。

(平成16年度以降103万円以下の配偶者特別控除は廃止)

パートの年収 所得税分 住民税分
配偶者
控除分(a)
配偶者特別
控除分(b)
合計控除額
(a+b)
配偶者
控除分(c)
配偶者特別
控除分(d)
合計控除額
(c+d)
38万円以下 38万円 0 38万円 33万円 0 33万円
38万円超
40万円未満
0 38万円 38万円 33万円 0 33万円
40万円以上
45万円未満
0 36万円 36万円 33万円 0 33万円
45万円以上
50万円未満
0 31万円 31万円 33万円 0 33万円
50万円以上
55万円未満
0 26万円 26万円 33万円 0 33万円
55万円以上
60万円未満
0 21万円 21万円 33万円 0 33万円
60万円以上
65万円未満
0 16万円 16万円 33万円 0 33万円
65万円以上
70万円未満
0 11万円 11万円 33万円 0 33万円
70万円以上
75万円未満
0 6万円 6万円 33万円 0 33万円
75万円以上
76万円未満
0 3万円 3万円 33万円 0 33万円
76万円以上
103万円未満
0 0 0 33万円 0 33万円
103万円 0 0 0 33万円 0 33万円
110万円未満 0 0 0 0 33万円 33万円
115万円未満 0 0 0 0 31万円 31万円
120万円未満 0 0 0 0 26万円 26万円
125万円未満 0 0 0 0 21万円 21万円
130万円未満 0 0 0 0 16万円 16万円
135万円未満 0 0 0 0 11万円 11万円
140万円未満 0 0 0 0 6万円 6万円
141万円未満 0 0 0 0 3万円 3万円
141万円以上 0 0 0 0 0 0

配偶者特別控除の上乗せ分の廃止

パートの収入と配偶者控除の関係

配偶者特別控除のうち、配偶者が控除対象配偶者に該当する場合に適用される部分(=配偶者控除と重複して控除される部分)については、平成16年分以降の所得税から適用がないこととされました。

厚生年金、パート加入義務拡大…「週20時間以上」に

政府は13日、厚生年金への加入が義務付けられるパート労働者の範囲を大幅に拡大する方針を固めた。

労働時間が「おおむね週30時間以上」の加入基準を、「週20時間以上」に広げる案を軸に検討する。

パート労働者の不安定な労働環境を改善するのが狙いだ。「再チャレンジ推進会議」(議長・安倍官房長官)が5月中にまとめる中間報告に盛り込み、2009年をめどに実施を目指す。

推進会議では、基準を「週20時間以上」に広げた場合、400万人前後が新たに加入することになると試算している。

パート労働者にとっては、厚生年金に加入すれば、報酬に比例して国民年金より多額の年金が受け取れるようになり、老後の所得保障が充実する。保険料の点でも、全額負担である国民年金(月1万3,860円(06年現在の保険料額))に比べ、厚生年金は企業と労働者の折半となるため、個人の負担は基本的に軽くなる。

パートの厚生年金加入の拡大は、04年の年金改革でも議論されたが、多くのパートを雇用する外食産業や小売業などの業界を中心に、「保険料負担が重くなる」と強い反発が出て、見送られた経緯がある。

04年に成立した年金改革関連法には、この問題を09年をめどに再検討する規定が盛り込まれた。

今回も同様の反発が予想されるが、政府は、賃金や年金保険料の負担を避けたい企業が正規社員の雇用を抑制し、パートを増やすケースがここ数年、目立っていることを問題視している。

厚生労働省の調査では現在、正規社員が約3100万人であるのに対し、パートは1000万人以上に上っている。

政府は今回の措置で、こうした状態を是正し、公正な労働環境の整備につなげたい考えだ。小泉首相の主導する構造改革の下で、格差の拡大が指摘されていることも、正社員との扱いの差を縮小する今回の措置の導入を後押しする要因となっている。

一方、同じパートでも、厚生・共済年金に加入するサラリーマンや公務員の配偶者で、パート収入が年130万円未満の場合は、国民年金の第3号被保険者に分類され、保険料を納める必要がない。

こうした扱いには、「優遇されすぎだ」との批判もあり、政府は、収入要件を「年65万円程度」などに厳しくすることを合わせて検討する方針だ。

(読売新聞 2006.5.14)

パートへの厚生年金適用拡大など提言

厚生労働省の「雇用と年金に関する研究会」(年金局長の私的研究会)は24日、年金制度の支え手を増やすための方策を報告書案としてまとめた。

パートタイマーなど短時間労働者に対して厚生年金の適用を拡大することが柱。「1週間の所定労働時間が20時間以上、または年収65万円以上の人」に適用するなどの基準案も示した。

報告書は近く正式に決定。2004年の次期年金制度改革での実現を目指す。

厚生年金は現在、正社員が主な対象。

パートなどは「所定労働時間が正社員のおおむね4分の3以上」であれば適用される。

サラリーマンの妻などがパートで働く場合、この基準に満たず年収が130万円未満であれば「第3号被保険者」と呼ばれ、保険料を負担しなくても国民(基礎)年金が受け取れる。このため第3号被保険者の範囲に収まるように労働時間などを調整する人が多いとされる。

NIKKEI NET(2003.2.25)

高島屋、配偶者手当廃止へ

大手百貨店の高島屋は、給与の配偶者手当を廃止する。すでに、労働組合に提案した。

成果主義の賃金体系を徹底させるため、働きぶりと直接の関係がない「家族給」にメスを入れる。

百貨店業界は、女性の比率が高いが、同手当の恩恵を受けているのは、大半が男性で、社員には不公平感もあった。労組も受け入れる見通し。

05年に完全実施する。所得税や住民税でも、専業主婦への優遇が強い配偶者特別控除が04年から廃止される予定になっており、企業の賃金制度でも、こうした見直しが加速しそうだ。

高島屋のいまの「家族手当」は、大半が「妻」を対象とする1人目が1万5,500円、2人目からこれに2,000円ずつ上積みしている。

新制度は名称を「生活手当」に変更。配偶者を対象から除き、子どもなど扶養家族1人に一律7,000円ずつの支給に切り替える。配偶者がおらず、子どもや親を養っている場合には増額となるケースもあるが、大半は減給。

例えば妻が専業主婦の夫婦と子2人の世帯の場合、1万9,500円が1万4,000円に、専業主婦と社員本人だけだと1万5,500円がゼロに減る。

家族手当を受給する約4,300人のうち女性は数十人にすぎず、不公平感をなくす必要があると経営側は判断した。新制度に対し男性社員からは反発が出ているものの、労組は配偶者手当の廃止によって生まれる原資を、業績反映部分の給与に振り向けさせる方向で、今後会社と交渉していく。

(asahi.com 2003.1.26)


幻の103万円の壁

「収入が103万円を超えそうなんですが・・・」という相談はたいへんたくさんあります。

「103万の壁」が一人歩きしてしまって、何が何でも103万円未満に年収を抑さえなければ「とんでもない税負担増になってしまうという」という大きな誤解があるようです。

税制、社会保険制度の適用については、いくつかのポイントがあって、このポイントをシッカリとつかむことが肝要です。

103万円は、いくつもあるポイントのひとつだと、考えてください。


被扶養者でない、配偶者には家族手当が出ない。

次の方は、103万円、130万円の壁をあまり気にしない方がいいでしょう。

ケース1
夫は会社員。社会保険に加入しているが、夫の会社は家族手当(扶養手当)を支給していない。

もともと家族手当が支給されていないなら、出る出ないの心配も意味がありません。

収入が一定額を超えることで新たに発生する支出は、その所得に対する税だけです。

パート収入が100万円を超えると住民税が、103万円を超えると所得税が、その収入に所得税がかかります。

しかし、税金の額は、控除後の金額が増加するにしたがって、少しずつ漸増するものです。

「99万円なら税額ゼロなのに、104万円なら、多額の課税。」という極端な現象が生じません。

(申告などの手続きが面倒だということはあるかもしれませんが・・・)


ケース2
夫は自営業で、国民健康保険加入。本人も国民健保。

国民健康保険には被扶養者という考え方はありません。


ケース3
パートタイマーとは名ばかりで、労働時間は正社員と同程度。

1日または1週間の所定労働時間及び1月の所定労働時間が通常の就労者のおおむね4分の3以上だと、社会保険の被扶養者にはなれません。

例えば、ほかの正社員の労働時間が週40時間で、パートの労働時間は週31時間だということになると、年収とは関係なく被扶養者とはなれません。

この場合に、夫の家族手当が出るかどうかについては、夫の会社の規定によります。


税金の「扶養親族」と社会保険の「被扶養者」は異なる

社会保険の被扶養者と所得税の扶養親族では、その収入要件等に多少の違いがあります。

たとえば、失業保険をたくさんもらっていても所得税上は非課税として扱われる部分ですから、税法上の扶養親族となる要件に影響しませんが、社会保険では、一定額を超えると被扶養者にはなれなくなります。

収入要件(限度額)
給料収入 公的年金収入
所得税での
「扶養親族」
103万円以下 108万円以下(障害者年金、遺族年金等は非課税のため除く)
178万円以下(65歳以上)
社会保険での
「被扶養者」
130万円未満(給料・あらゆる公的年金収入の合計)
180万円未満(60歳以上の人又は障害者)

所得税における扶養親族となるためには、次の条件を満たしている必要があります。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)であること。または、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村から養護を委託された老人であること。
  2. 納税者と生計を一にしていること。
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
  4. 青色申告者の事業専業者として給与の支払を受けていないこと及び白色申告者の事業専従者でないこと。

パートの収入の段階はたくさんある

38万円

本人には税金はかかりません。もちろん夫の税金が増えるということもありません。

年収が103万円までは、夫が配偶者控除(所得税38万円、住民税33万円)を受けることができます。

100万円

妻に住民税がかかるラインです。100万円を超えると本人に住民税がかかるようになります。

住民税は翌年払うことになりますが、税率は100万円を超えた分の5%です。

103万円

妻の所得税がかかるラインです。103万円を超えると所得税がかかります。

税額は103万円を超えた残りの10%です。105万円の年収で年間2,000円ということになります。

ここのラインを超えたからといって、すぐに夫の税金が増えることはありません(段階的に増える途中にあります)。

むしろ、このラインで問題になるのが妻を対象に支給されている家族手当です。

勤務先によって支給基準まちまちでしょうが、一般的に非課税限度額の103万円を超えると支給対象者からはずされる企業が多いようです。

公務員のように社会保険の被扶養の限度額130万円にしている企業もあります。夫の勤務先でしっかり確かめることが必要です。

130万円

社会保険の被扶養からはずされる130万円は大きなポイントです。

自分で何らかの社会保険制度に加入しなければなりません。(健康保険法に関する通達 昭和52.4.6 保発9号、平成5.3.5 保発15号)

社会保険の保険料は労使折半ですが、「収入」の10%を超えますのでかなりの額です。社会保険の加入資格は「勤務時間や日数が正社員のおおむね4分の3以上」とされています。

被扶養者の要件=生計維持関係にある

認定対象者が被保険者と同一世帯であり、 認定対象者の年収が
130万円未満で、
かつ、
被保険者の年間収入の2分の1未満
被保険者の年間収入を上回らないこと
認定対象者が被保険者と同一世帯でないが、 被保険者からの援助より年収額が少ない

世帯の実収入はパートの年収130万円のところでガクンと下がっています。

これはパートの年収130万を超えると配偶者の社会保険(健保・年金)の被扶養から外れ、本人がこの場合国民健康保険・国民年金に入ることになり、保険料の自己負担がグッと増すラインだからです。

130万円の時の世帯の実収入を上回るには、155万円以上になる必要があると想定されます。

なお、会社から支給される交通費が非課税の場合でも、130万円の算定には含まれますので、注意してください。

交通費は(たとえ算定が実費を基にしていても)、実費弁償である出張旅費とは異なり、労務の対価として事業主から支払われるものです。

141万円

141万円を超えると配偶者に対する控除がなくなります。

これ以降は、妻の年収によって夫の税金が変わることはなくなります。夫の税金を気にする必要はありません。おもいっきり働きましょう。



このように見ていくと、少なくとも130万を超えるまでは、妻の収入が増えるほど夫婦の手取り合計は確実に増えていきます。夫婦の手取り額を増やしたいのなら、「100万、103万の壁」を意識するのはあまり意味のないことのようです。

ここでのネックはやはり「家族手当」がなくなってしまうことに集約されてしまうようです。

賞与の算定対象になっていたりすると(時間外手当の算定には含めなくともよい)年収に占める割合は大きいですからバランスを考えて働かざるを得ませんが、それが少額であれば、手当がなくなってしまうのは残念ですが、割り切って働いた方がいいと言えるでしょう。

個人によって税率・基礎控除・生命保険控・個人年金控除などの金額が違う為、その壁はいろいろですが、今後女性の労働力にますます依存せざるを得ない状況でこのような制度が機能していかなくなることは必定です。


配偶者の収入などによって扶養と認められない場合も

扶養されていると認められるのは、主に第2号被保険者(サラリーマンなど)の収入で生計を維持されていることとされています。

パート収入を得ている場合は次の条件が必要です。

同居している場合 本人(配偶者)の年収が130万円未満で、かつ第2号保険者の年収の2分の1未満。
例えば、パート本人の年収を129万円に抑えても、配偶者の年収が258万円を超えないと配偶者の2分の1以上の収入があることになって扶養となれません。
別居している場合 本人(配偶者)の年収が130万円未満で、その金額が第2号被保険者からの仕送り額より少ない。
例えば、パート本人の年収を129万円に抑えても、配偶者からの仕送額が129万円を超えないと配偶者の仕送額以上の収入があることになって扶養となれません。

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