インターネットへの掲示

内容の真実性などで判断される

今日では、ホームページなどに会社を批判する内容を掲載することがありえます。

正当か正当でないかは、配布ビラの場合と同様に判断されます。

エイアイジー・スター生命保険事件 東京地裁 平成17.3.28

会社に雇止めされた嘱託事務員の所属する労働組合が、会社を批判するビラ(嘱託員を「使い捨て」「ポイ捨て」、「大きな安心を届けるという宣伝文句を言う資格がない」といった記述がある)を配布し、また、同内容を組合のホームページに掲載した。

嘱託員らは、(1)契約更新は形式的なもので普通に働けば60歳まで雇用継続される、(2)本社へ転勤すれば雇用継続される、(3)担当業務の長崎移管にあたり転属先を探す、と言われていた。

また、団体交渉において双方の歩み寄りがなく、都労委のあっせんも、会社側が直ちに拒否するなど、解決の糸口が見つからない状況下での組合活動であった。

会社側は、この行為に対し、損害賠償500万円と、謝罪広告を求めた。

裁判所は、ビラの配布及び公衆送信行為は、会社の名誉、信用を毀損するものであるが、労働組合の活動の一環として行われたものであるから、正当な組合活動として社会通念上許容される範囲内のものであると判断される場合には、違法性が阻却される、とした。

その上で、ビラの摘示する事実は真実と信じるに相当な理由があり、表現も雇止めの不当性を明らかにしたものであると言える。真実だと断定できないものの、組合としては少なくとも真実と信じる相当な理由がある。

会社コマーシャルのコピーについても、組合活動の相当性を逸脱するものでない。その内容も、社会通念上、許容される範囲内のものであるとした。

また、インターネットが普及した今日においては、ビラの内容を公衆送信することも目新しいものではなく、本件ビラ配布およびその公衆送信の態様は、組合活動として社会通念上許容される範囲内であるとした。


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