結成大会前の準備

要求は現実を見すえて

規約案ができると、次は大会で決定する運動方針案(要求案)を用意することになります。

運動方針は、結成後の組合活動の指針となるものですから、案を作る過程で労働者の要求をきめ細かく集め、多数の意見を反映できるよう配慮しなければなりません。

しかし、労働組合の初めての要求案は、全てのものを要求するということではなく、組合員が「労働組合を結成して良かった」と実感の持てる、ある程度、実現可能な要求となるよう、工夫するとよいでしょう。

結成後、直ちに労働協約の締結やユニオン・ショップ協定等を要求する組合も見受けられますが、労働条件の改善を要求の中心におく方が組合結成の効果を実感しやすいかもしれません。


労働組合の財政

労働組合の財源は、当然のことながら組合費です。

組合費の決め方については、(1)一定額とする方法、(2)組合員の賃金額に対し一定率とする方法、(3)両者を併用する方法などがあります。

徴収の方法には、以下のものがあります。

  1. 労働組合が直接、組合員から徴収する方法と、
  2. 労働組合が使用者と協定を結び、使用者が組合員の賃金から天引きして労働組合に渡す方法(チェック・オフ制度)

組合費は一度決めると、途中で値上げすることが難しいのが現実です。

組合費の徴収基準

N=125組合

正規従業員の組合費と同一基準 18.4%
定率 39.2%
定額 23.2%
定率・定額併用 18.4%
平均賃金(組合費の基準) 305,048円
平均月額組合費 5,023円
組織規模別
299人以下 4,486円
300~999人 5,086円
1,000~4,999人 4,944円
5,000~9,999人 5,342円
10,000以上 4,965円
賃金に占める組合費比率 1.64%

参考:日本労働組合総連合会(公財)連合総合生活開発研究所「第18回労働組合費に関する調査報告 2015年10月実施」

なお、臨時組合費については、「いわゆる安保資金や組合の決めた支持政党または統一候補のための選挙運動資金を強制的に徴収することは許されない」とした最高裁判決(国労広島地本事件 最三小 昭和50.11.28)があります。

予算案は、結成大会に提案し、討議を経てはじめて成立します。

役員の選出

組合役員は、通常、規約や運動方針案を決定したあと、組合規約に基づいて選出されることになります。

役員選挙は、直接無記名投票により選出しますから(労働組合法第5条)、選挙に必要な投票用紙や用具類をあらかじめ準備しておきます。

また、選挙管理委員会の人選についても、スムーズに運ぶために、事前に打診しておくようです。

会場の選び方

公然化の時期や会社側の抵抗などと関連しますから、会場選びは慎重に行わなければなりません。

皆が集合しやすい所、結成の秘密が漏れない所、費用があまりかからない所等の条件を満たすような場所を探すことになるでしょう。

会社が承認しない以上、会社施設を利用することは出来ませんから、公共施設を利用することになるでしょう。

NTT労組が組合費引き下げ提案 秋から、月千円前後

民間最大の単一労組、NTT労働組合(津田淳二郎委員長、約20万人)は3日から開いている全国定期大会で、組合員から毎月徴収する組合費を10月から引き下げることを提案した。

下げ幅は13%で、月1,000円前後の見通し。NTTは5月に、NTT東日本、西日本の社員10万人を低賃金の新設会社に転籍させたが、これを受け入れた組合としても、組合員の負担を減らすため、実質的に初の組合費カットに踏み切る。

同時に都道府県などを単位に57ある支部も21に減らし、専従役員も3割減らして約150人にする。

4日に採択の予定。大手企業の労組の組合費カットは異例で、他社にも影響しそうだ。

NTT組合費は現在、基本賃金の2.2%が基本で、10月からはこれを1.9%に下げる。基本給が月額30万円の場合、組合費は月6,600円から5,700円に900円下がる。

NTT東西の10万人転籍で、50歳以上の転籍者は5月から新会社で賃金が15~30%下がったため、組合費も連動して下がっているが、10月からさらに下がる。

組合費カットで、組合予算は前年度実績より約2割減る。

2002.7.4 asahi.com (http://www.asahi.com/)


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