ユニオン・合同労組

1人でも加入できる労働組合

日本では、会社単位で作られている労働組合が多いのですが、「ユニオン」や「合同労組」といって、会社の枠を越えて、誰でも個人で加入できる労働組合があります。

これは「○○ユニオン」「○○一般労働組合」などど呼ばれていて、各地域にあります。

もちろん、パートや派遣で働く人たちも加入できますが、これらの人たちのための、パート中心、派遣労働者中心の労働組合も地域によっては存在します。

さらに、管理職によって構成された合同労組もあります。

合同労組に加入すると、その組合の役員が、会社への団体交渉の申し入れや、一緒に交渉を行ってくれるので、労働者にとっては心強いのかもしれません。

合同労組の多くは、インターネットでも活動をPRしているので、「合同労組」「労働相談」「労働組合」「ユニオン」「労働問題」などのキーワードで検索してみてください。

こうした労働組合でも、労使紛争の解決にあたるときは、それなりの費用が必要です。

また、通常の組織維持のための経費は当然欠くことができません。

労働組合は「組合費」という名目でこれを調達しますが、単発の個別紛争の場合は将来的な経費負担が見込まれないため、解決金からの「カンパ」という名目で費用負担を求められる場合があります。

その額は、個々の組合によって異なりますが、団体交渉で解決する場合は10%程度、争議行為等を行わなければ解決しないときは20~30%といわれています。

しかし、半分以上や大部分を取ってしまうところもあると聞いています。

もちろん、支援に応じるか否かは労働組合の判断次第ですし、労使紛争の内容によって必要経費の多寡も上下すると思われます。頑張ったが、成果は得られなかった、しかし、費用は発生したという場合も想定されます。

また、残業代などの未払い賃金の請求などの場合は、金銭的な成果が得やすいためにすぐに支援に応じても、不当解雇による地位保全などは、金銭的なメリットがないため引き受けないようなケースもあるようです。

いずれにせよ、ユニオン等の労働組合の支援を求めるときは、後日もめごとにならないように、事前に費用の算段をしておくことも必要でしょう。

組合は本人のやる気を萎えさせたくないため、当初は、あまり成功報酬などを持ち出さないようです。

非正社員対象の地域ユニオン8団体、連合加盟へ

パートなどの非正社員らを対象に、1人でも加入できる労組として各地で活動する地域ユニオン(66団体・約1万4千人)のうち8団体(約5千人)が、3、4の両日、東京都内で開いた大会で、新組織「全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン)」を結成、連合(笹森清会長)への加盟を決めた。

連合内の一部に異論もあるが、早ければ今月中に加盟が承認される見込み。

非正社員として働く人は年々増加し、雇用者の3割近くを占める。

一方、正社員労組が中心の連合は、労組の組織率(雇用労働者に占める組合員の割合)が01年6月時点で過去最低の20.7%となるなど、影響力低下に悩んでいる。

「パートの組織化と待遇改善が労働運動の活性化につながる」と、連合とユニオン側で意見が一致した。

全国ユニオン会長には「なのはなユニオン」(千葉県)の鴨桃代委員長、事務局長には「東京ユニオン」の高井晃委員長が就任。

「男女平等・共生社会の実現」を活動方針の柱とし、パートや派遣で働く人たちと正社員との均等待遇の実現などを重点課題とした。

(asahi.com 2002.11.04)

ネット上で労組に相談 「サイバーユニオン」広がる

インターネット上の労働組合に悩みを相談し、支援を受ける「サイバーユニオン」が広がりを見せている。

デフレで苦しむ中小・零細企業の多くには労組がなく、突然のリストラ通告にも泣き寝入りする人が多い。

こんな労働者を助けるネット労組は、全国組織との接点に恵まれない地方の労働者にも好評だ。

東京の外資系証券会社に勤めていた30代後半の男性は今年1月、上司から「辞めてくれないか」と切り出された。

昨秋の米国同時多発テロ以降、業績は伸び悩み、職場から同僚が突然消えることがよくあった。

「いずれ自分も」と考えた男性は、必死のネット検索でサイバーユニオンを知る。幸か不幸か、退職勧告はその直後だった。

ホームページの体験談を参考に、男性は承諾するかどうかの即答を避け、「本部」に電話で指示を仰いだ。

退職理由の文書化は会社に拒まれ、上司との人間関係もこじれたため、退職金の上積みに的を絞った。

2か月近い交渉の末、素直に辞めた場合の3倍近い額を得た。男性は「突然の退職勧告。普通なら動揺するところを、組合のお陰で最後まで交渉できた」という。

社員約100人のアパレル企業(東京)に勤める40代前半の女性。

4月、私用メールが多いなどの理由で突然、解雇通告を受けた。

知人が会員だったサイバーユニオンの支援を受け、地位保全を東京地裁に申請すると、会社は退職金の大幅上積みを提案してきた。

9月に和解した。

この会社では、この女性に刺激を受けた約10人が組合結成に動いている。

サイバーユニオンは、中小企業の労働者らでつくる全国一般東京一般労組が98年末に始めた。

月額1500円の会費で相談に応じ、死亡時などに保険金が出る共済会に加入できる。

今年9月末現在の会員は約680人。

問題解決後の退会者を含めれば、累計2000人が入会した。

関東以外の地方会員が3割近い。

距離や時間の壁を超え、最新の労働事情を共有できるのが特長だ。東京一般の広松栄香・書記次長は「地方では、組合に入るだけで雇用主との関係が悪くなりがち。ネットの隠れ組合員になることで、いざという時に自己防衛できる」と効用を説明する。

日本の労組の組織率(労働者に占める組合員の割合)は20.2%(02年)で、27年連続で低下している。

それも中小・零細企業では1.3%。大手より転職が多く、組織の維持は難しい。

厳しい環境の下、サイバーユニオンのホームページへのアクセス数は99年の月千件前後から約3000件に増えている。

サイバーユニオンには、正式な労組への「入り口」の役割も期待されている。

10月には、NTT労組を中心とする情報労連(23万7000人)がネット上に労組を「結成」、ほかにも検討している労組がいくつかある。

ただ、気軽に入れる分、問題が解決すると辞めてしまう会員も多い。現実の活動はネット上で完結せず、「対面」が基本となる。会員の定着は、設立母体の支援内容次第といえる。

(asahi.com 2002.12.18)


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