労働協約での組合員の範囲に関する条項

組合員の範囲は、組合が自主的に決めるもの

労働協約で、組合員の範囲を決めることはできますが、経営者の利益代表を組合員から除外することは、労働組合法第2条第1号からも明らかですし、それ以外でどの範囲までを組合員とするかは、労働組合の任意となっています。

したがって、労働組合が労働協約で除外された労働者をメンバーに加入させたとしても、使用者は組合に対し協約違反の責任を追及することはできないと解されています。

従業員以外の者(例えば上部団体の構成メンバー)を組合に加入させることも可能で、「組合員は従業員でなければならない」という規定があったとしても、協約違反を追及することはできません。

会社側から、組合員の範囲についての条項を設けるよう働きかけることは内部組織への介入と見られるので、強要すれば使用者の不当労働行為ともされかねません。(労発第153号 昭和25.5.8)


組合分裂による労働協約の効果

熊本電鉄組合解散仮処分上告事件 最高裁 昭和28.12.4

旧労働組合が解散して新労働組合が結成される場合、旧組合当時の労働協約が効力を失うか否かの問題は、これを一概に論ずることはできないけれども、原判決の確立した如く、旧組合の内紛によりその脱皮生長を図るため旧組合を解散し、新たにこれと別個の組合を結成したような場合には、前組合と後組合とはその関連性がなく、団体として統一的持続を欠くものと認むべく、従って旧組合当時の協約はその効力を失うものと解すべきである。

(同旨 朝日新聞仮処分命令申請上告事件 最高裁 昭和27.10.22)


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