労働協約の主な内容


労働協約に定めるものは、主として労働条件その他労使関係全般に関する事項で、法令や公序良俗に反しない限り、その内容をどのように決めるかは当事者の自由です。

労働協約の内容を大きく分類しますと賃金、労働時間、休日、休暇など労働者の待遇についての基準を定めたいわゆる「規範的部分」と、組合活動に関すること、団体交渉に関すること、争議に関することなど専ら労働組合と使用者の関係を定めたいわゆる「債務的部分」に分けられます。

労働協約で取り決められる事項を例示しますと、おおむね次のようになります。

1.前文または序文


2.総則に関する条項

  1. 労働協約の目的
  2. 労働協約の適用範囲
  3. 組合員の範囲
  4. ショップ制
  5. 経営権と労働権に関すること

3.組合活動に関する条項

  1. 就業時間中の組合活動(賃金)
  2. 会社施設の利用(組合事務所、備品、掲示板)
  3. 組合専従者
  4. チェックオフ(組合費天引き)

4.人事に関する条項

  1. 人事原則
  2. 採用
  3. 人事異動(転勤、出向)
  4. 解雇(懲戒)
  5. 賞罰
  6. 退職(定年制)
  7. 休職(復職)
  8. 教育または研修

5.労働条件に関する条項

  1. 総則
  2. 賃金(賃金、退職金、賞与(一時金)、昇給などの基準)
  3. 労働時間(所定労働時間、休憩、交替制、フレックスタイム制、変形労働時間制、時間外および休日労働、女子の時間外労働)
  4. 休日(休日振替、公民権行使)
  5. 休暇(年次有給休暇、生理休暇、産前産後の休暇、特別休暇、育児の時間、欠勤など)
  6. 育児休業
  7. 宿日直
  8. 出張
  9. 配置転換、出向

6.災害補償に関する条項

  1. 療養補償
  2. 休業補償
  3. 障害補償
  4. 遺族補償
  5. 傷病補償
  6. 葬祭料

7.安全衛生に関する条項

  1. 安全衛生の措置
  2. 総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、作業主任者、産業医、安全衛生推進者等
  3. 災害予防
  4. 安全施設
  5. 安全衛生教育
  6. 安全委員会、衛生委員会
  7. 健康診断
  8. 病弱者の就業禁止等

8.福利厚生に関する条項

  1. 福利厚生施設
  2. 施設の利用
  3. 生活および住宅融資
  4. 慶弔見舞金

9.苦情処理に関する条項

  1. 苦情処理の手続き
  2. 苦情の範囲
  3. 苦情処理委員会(仲裁および団体交渉との関連)

10.労使協議制に関する条項

  1. 労使協議会(経営協議会または労働協議会)
  2. 設置の趣旨
  3. 構成および運営
  4. 付議事項
  5. 専門委員会

11.団体交渉に関する条項

  1. 団体交渉の原則および交渉義務(唯一交渉団体)
  2. 交渉事項
  3. 交渉機関
  4. 交渉担当者
  5. 交渉手続きとその方式
  6. 交渉時間
  7. 傍聴者および公開・非公開

12.平和条項

  1. 平和義務
  2. 争議調整条項
  3. 労働委員会等第三者のあっせん・調停

13.争議行為に関する条項

  1. 争議行為の予告
  2. 争議行為不参加者(休暇、欠勤の取扱い)
  3. 代替要員雇入禁止
  4. 争議中の団体交渉
  5. 争議中の賃金不払い
  6. 保安要員
  7. 会社施設の利用
  8. その他争議行為に関する事項

14.効力

  1. 疑義の取扱い
  2. 協議中の適用
  3. 有効期間(改廃手続)
  4. 自動更新(自動延長)
  5. 余後効

15.附則

  1. 労働協約締結日および締結者
  2. 了解事項

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