締結時の留意点

合意に達したものからひとつずつ締結を図る

労働協約は、組合員の労働条件やその他についての自主的な協定ですから、何をどのように約束するかは当事者の自由です。

したがって、特に難しく考える必要はなく、労使が必要と思われる事項を順次協定していけばよいわけです。

労働協約のない状態から、いっきに包括的労働協約を締結するのは大変なことです。

もちろん、組合員の労働条件や組合と会社との約束すべてが含まれた労働協約を結ぶのは理想ですが、それに至るには長い時間と交渉の積み重ねを必要とするでしょう。

労使の間で合意に達した部分があっても、他の問題が合意に達しないため労働協約の締結が延び延びになっている例もみられます。

そのようなことがないように、合意に達した部分を個別的に締結し、順次積み重ねて行く方法がよいでしょう。

また、なかには団体交渉それ自体円滑に開かれないといったところもあるようです。

そのようなところでは少なくとも、団体交渉のルールだけでも初めに決めておくようにしましょう。


段階的に内容を向上させていく

労働協約の内容を質的に高めていくことは、労働組合にとって大切なことですが、理想的な労働条件や人事条項等は組合結成後すぐにも得られるというものではないでしょう。

それらは、日ごろ熱心な活動を続け、組合の質的向上を通じて労使関係の近代化を図りつつ達成していくのです。

したがって初めはあまり背のびせず、組合や社会に置かれた状況をよく考え、現時点で可能なものから協約化し、その上に立って順次内容を改善、充実していくのがよいでしょう。


組合員の最も関心の深い事項から規定化する

組合員が日常職場で関心を寄せるものとしては賃金、一時金、退職金、労働時間、休日、休暇等があげられます。

これらの組合員の労働条件に関することの他、組合活動、団体交渉、組合事務所といった労使間のルールを明らかにしておくことから始めます。


互譲の精神を忘れないように

労働協約は労働条件を中心とする労使交渉の合意の協定ですから、譲歩できる範囲で双方の妥協がなければなりません。

一方的な主張を無理に通すことなく、相手の立場を十分尊重して、譲るべき時は譲るようにして信頼関係を築きます。


実効のある協約化に努め、規定は明確にする

労働協約の交渉にあたっては、実務的に個々の具体的条項について権利、義務を明らかにしていきます。

条項の規定は明確な用語により表現することに心がけ、解釈をめぐってトラブルのないようにします。

また細かくする必要がある場合は、その都度「了解事項」を入れるか、別に「覚書」「付属書」などを作ることもよいでしょう。


ページの先頭へ