ロックアウト

ロックアウトは使用者側の対抗手段

ロックアウトとは、使用者が労働者の労務提供を拒否することで、多くは、事業場から労働者を退出させることによって行われます。

ロックアウトは、労働者側の争議行為によって、かえって労使間の勢力の均衡が破られ、使用者側が著しく不利な圧力を受ける場合に、使用者側においてこのような圧力を阻止し、労使間の勢力の均衡を回復させるための対抗防衛手段として相当であれば、使用者による正当な争議行為として是認されます。

ロックアウトが正当な争議行為とされるためには、以下の条件が必要です。

(1) 組合側による争議行為の存在ないし争議終了後も相当の圧力が存在すること
(2) それによって、使用者が著しい打撃を受けること
(3) 労使間の勢力の均衡を回復するための対抗的防衛手段であること

したがって、労働者側からの圧力がなく、単に賃金負担を軽減するなどの意図で行われたロックアウトは、認められません。

また、当初は組合との対抗上実施されたロックアウトであったが、その後、組合の抵抗力が失われ、もはやロックアウトの必要性がないにもかかわらず、ずるずるとこれを引き延ばせば、正当性を欠くとされます。

逆に、部分スト・指名スト・巡回スト・波状スト・サボタージュ等は、労働者側に発生する損失の程度は比較的少ないのに対し、使用者側に生じる損失は大きいため、この種の争議行為に対してもロックアウトは有効であり、正当だと解されています。

ロックアウト中に労働者による職場内座り込みや職場占拠等が行われた場合、あるいはその可能性がある場合は、使用者は立入禁止の仮処分を求めることができます。


ロックアウトと賃金カット

ロックアウトが正当であれば、使用者は労働者に対し、賃金支払義務を免じられます。

労働者が使用者の「ロックアウト宣言」を無視して、就労運動を組織(就労闘争)したとしても、それは労働契約上の労務提供とはいえません。

これに対し、不当なロックアウトについては、賃金請求権そのものも発生し、また、休業手当の支払義務があると解されます。

例えば、使用者が部分ストに対抗して全労働者に作業所閉鎖した場合には、残りの労働者に賃金請求権(休業手当の支払義務)が生じます。

これを免れるためには、部分ストの範囲だけの作業所閉鎖が不能(無意味)であり、なおかつ、部分的作業所閉鎖をしたとしても、結局残りの労働者の就労が不能(無意味)であることが条件となります。


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