心理療法の技法

支持する

気落ちして元気がない人や、不幸に出会い落胆した人に対して、声をかけたり協力して支持的に働きかけるのと同様です。

「支持する」とは治療者が患者の心を支えてやることで、気持ちを安定させることにより、適応力を高めようとするものです。

本人に直接働きかけるのみでなく、家族にアドバイスしたり、職場や学校の環境調整を図って周囲から支える方法もあります。

一時的効果しか望めない場合が考えられるので注意を要します。また、助言が単なる気休めとしてしか受け止めてもらえないこともあります。


表現させる

誰かに話を聞いてもらうと、ただそれだけで気持ちが落ち着き、問題の整理がついたり、新たな意欲がわいてくることがあります。これと同じく、情動がスムーズに表出されることによって、心的な負担が減り、症状の改善がみられる場合があります。

「表現させる」際には、患者の不安や恐怖、罪悪感、屈辱感ができるだけ感情表出を伴って語られるのが望ましいとされています。


洞察させる

患者が自分自身の問題について治療者に話し、一方の治療者が、それについて明確化したり、助言を与えていくと、患者はそれまで気づかなかった本質に思い当たり、自分の考えや行動を深く理解するようになります。

洞察に至り、変化を生じさせるためには、単なる会話や意見の交換を越えなければなりません。経験を再学習し、意義深い体験が引き起こされる機会を必要とします。したがって、「洞察させる」ためには時間がかかり、治療者の粘り強い態度や、患者の積極的な関与が必要です。


訓練および再学習させる

病的な状況に陥ったのは、患者の生活のあり方や、病状に対する態度やとらえ方が誤りであったためとも、考えられます。

したがって、この誤った順応様式を捨て、新しい適応の仕方を身につけさせるため、新たな訓練ないし再学習(行動療法、森田療法、自律訓練法など)を行います。

これらの療法では、症状の背後にある個人的な要因や深い心的葛藤には触れずに、行動面や、症状に対するとらえ方の変容を目指しています。


ページの先頭へ