公示送達とは

相手の所在がつかめないとき利用する

意思表示をなすべき相手方が誰であるかわからなかったり、わかっていてもその所在がわからない場合は、申立人の意思を有効に相手方に到達させることができません。

このための手段として用意されているのが公示送達で、夫が行方不明の場合に離婚の意思表示をしたり、従業員が所在不明の際に懲戒解雇の通告をしたりする場合に利用します。

公示送達は、裁判所の掲示板に掲示するとともに、官報・新聞(または区市町村の掲示板)に掲示することによって行われます。

民法97条の2(公示による意思表示)

(1) 意思表示ハ表意者ガ相手方ヲ知ルコト能ハス又ハ其所在ヲ知ルコト能ハサルトキハ公示ノ方法ニ依リテ之ヲ為スコトヲ得

(2) 前項ノ公示ハ公示送達ニ関スル民事訴訟法ノ規定ニ従ヒ裁判所ノ掲示場ニ掲示シ且其掲示アリタルコトヲ官報及ヒ新聞紙ニ少クモ一回掲載シテ之ヲ為ス但裁判所相当ト認ムルトキハ官報及ヒ新聞紙ノ掲載ニ代ヘ市役所、町村役場又ハ之ニ準スヘニ施設ノ掲示場ニ掲示スヘキコトヲ命スルコトヲ得

(3) 公示ニ依ル意思表示ハ最後ニ官報若クハ新聞紙ニ掲載シタル日又ハ其掲載ニ代ハル掲示ヲ始メタル日ヨリ二週間ヲ経過シタル時ニ相手方に到達シタルモノト看做ス但表意者カ相手方ヲ知ラス又ハ其所在ヲ知ラサルニ付キ過失アリタルトキハ到達ノ効力ヲ生セス

(4) 公示ニ関スル手続ハ相手方ヲ知ルコト能ハサル場合ニ於テハ表意者ノ住所地、相手方ノ所在ヲ知ルコト能ハザル場合ニ於テハ相手方ノ最後ノ住所地ノ簡易裁判所ノ管轄ニ属ス

(5) 裁判所ハ表意者ヲシテ公示ニ関スル費用ヲ予納セシムルコトヲ要ス


相手方の所在が判明している場合は無効

公示送達は裁判所の掲示板に掲示することによって行われますが、現実には、それが本人の目にとまるとはほとんど考えられません。

ところが、送達が行われれば、それは法的な効力を発生します。

したがって、本当に相手方の所在が判明できないのか否かが、厳密に問われることになります。

表意者が相手方の住所を知っているのに、知らないことを装って公示送達を行ったことが判明した場合、その送達は効力を生じなくなります(ただし、表意者の故意・過失は、これを否認する側に立証義務があります)。


管轄は簡易裁判所

公示手続の管轄は、相手方が誰だか知ることができないときは表意者の住所地の、相手方はわかるが所在不明の場合は相手方の最後の住所地の簡易裁判所となります。


到達は2週間後

公示による意思表示の効果は、最後の官報もしくは新聞に掲載した日、またはその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過したときに、相手に到達したものとみなされます。


ページの先頭へ