公務員の場合

原則的には労働審判の対象外

公務員を一方の当事者とする任用上の紛争(身分の得喪、懲戒処分、配置転換など)は、「民事に関する紛争」に該当しないものとして、労働審判手続の対象とはなりません(国家公務員法・地方公務員法の規定に基づき、人事院、人事委員会等に不服申し立てを行い、それに対しても不服がある場合には、行政訴訟を提起できる仕組みとなっています)。

ただし、セクハラの被害者や、退職強要を受けた公務員が国もしくは地方公共団体を相手方として提起する損害賠償訴訟(国家賠償法に基づく損害賠償請求)や現業公務員の残業代請求などは、公法関係上の紛争ではないと考えられていますので、労働審判制を利用することができます。

ただし、この場合も、セクハラを行った上司を相手方とする審判請求はできませんので、職場環境配慮義務や民法第715条の使用者責任を求めて組織側を相手として審判を申し立て、必要に応じて加害者を利害関係人として手続に参加させるようになります。


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