少額訴訟の流れ

少額訴訟の提起

相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に、少額訴訟の訴状を提出します。

訴状には、請求する金額に応じた手数料として、必要な収入印紙を貼り付けます。

訴額(請求する金額) 手数料(印紙)
1円~10万円 1,000円
10万円~20万円 2,000円
20万円~30万円 3,000円
30万円~40万円 4,000円
40万円~50万円 5,000円
50万円~60万円 6,000円

少額訴訟に必要な費用として、手数料のほか、原告・被告の当事者がそれぞれ1人の場合、3,980円分の予納郵券(切手)が必要で、 当事者が1人増えるごとに2,130円が必要になります。


訴状の審査

通常訴訟同様の審査に加え、少額訴訟特有の要件が審査され、不備がある場合は、訂正や再提出を求められます。


被告への訴状の送達

少額訴訟手続による審理を求める訴状が裁判所で受け付けられると、最初の期日が決められ、当事者双方にその通知があります。

被告には、訴状の副本と一緒に少額訴訟手続の内容を説明した書面、答弁書、事情説明書といった書面が同封された郵便が届きます。

被告が原告の訴状に対する反論を記載した答弁書を提出すると、裁判所から原告にも送付され、原告も反論があれば、再度、答弁書や証拠などを提出します。


口頭弁論期日(裁判)

即時解決を目指すため、証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られます。

流れ的には、冒頭に、裁判官による手続の説明の後に裁判が始まります。

基本的には、裁判官と共に丸いテーブルに着席する形式で審理が進められます。


判決、和解

少額訴訟では、裁判官により判決が言い渡される前に、和解の提案が出されることが多くあります。

和解といっても、裁判所の決定となるため、判決同様の効果があります。

裁判官からの金額や支払い条件の提示に対して、双方が合意することで和解が成立します。

もちろん合意に達しなければ、判決を求めることになります。

少額訴訟手続の判決は、通常の民事裁判のように、原告の言い分を認めるかどうかを判断するだけではなく、一定の条件のもとには分割払、支払猶予、訴え提起後の遅延損害金の支払免除など命ずることができます。


異議申立て

少額訴訟判決に対する不服は異議申立に限ります。反訴を提起することはできません。

被告は少額訴訟手続を同意しないで、通常の手続による審理を求めることができます(最初の期日の審理が始まる前 =第1回口頭弁論期日において弁論する=までに申し出が必要)。

しかしながら、少額訴訟の判断がいったん下された後に、これを覆すのは、非常に難しいのが現実です。

被告がいったん弁論に応じ、または第1回期日が終わってしまうと、通常の訴訟への移行はできなくなります。

異義後の判決に対しては、原則として不服を申立てることはできません。


本訴への移行

少額訴訟による決着を望まない場合は、通常の訴訟としての訴えをすることになります。

労働紛争の多くは、労使双方に言い分があるので、これを出し尽くして判断を仰ぐことになるならば、通常の訴訟や労働審判にならざるをえません。

これが少額訴訟の最大のウイークポイントです。

したがって、少額訴訟制度になじむのは、やはり証拠のしっかりしているものということになります。


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