内容証明の書き方

内容証明郵便とは

どのような内容の文書を出したかを日本郵便に証明してもらえる制度があり、それを利用して出される郵便物を内容証明郵便といいます。

内容証明は、いつ、どのような文書を誰が、誰に差し出したかを郵便局が証明する制度です。

受取人に確実に到達したかを明らかにするため、同時に配達証明にしておくこともよく行われます。

差出人は5年以内に限り、差出郵便局の保管する謄本を閲覧し、その内容が、内容証明郵便として差し出されたことの証明を受けることができます。

この場合は、差し出し時に交付される「書留郵便受領証」を提示します。

内容証明郵便は、開封したまま郵便局に提出し、証明を受けてから封入しなければなりません。


内容証明の様式等

同時複写で3枚書きます(郵便局保管・相手方送付・差出人保管)。

用紙の種類や大きさは自由(B4判、A4判、B5判程度の一般的な用紙―コピー用紙、ワープロ用紙などで差し支えありません)。

縦書きの場合、1行20字以内、1枚26行以内

横書きは、1行13字以内、1枚40行以内(2段組)、もしくは一行26字以内、一枚20行以内

専用の用紙は文具店等で売っていますが、字数等決められた様式で書けば、何の用紙でもかまいません(ただし、字数など厳密にチェックされるのでマス目のある用紙を使用する方がいいと思います)。

手書きの場合は、カーボン紙を敷いてボールペンで書いてもいいし、1通手書きでそれをコピーしてもかまいません。ワープロソフトで作成したものでもかまいません。

記載内容は自由ですが、用紙内には、必ず差出人と受取人の住所、氏名を末尾余白に付記します。

文章が2枚以上になるときは、その綴目に契印をしなければなりません。実印である必要はありません。

内容証明郵便で使用できる文字は、かな、漢字、および数字です。英字は、氏名、会社名、地名、商品名などの固有名詞だけ使えます。

かっこ、句読点、その他一般に記号として使用されているものは使えます。

、。「」などは1字として扱います。
○付き数字などは2字として扱う(次に空白を入れる)などの決まりがあります。

訂正方法は、間違えた個所を二本線で消し、それから正しい文字を書き加えます。訂正したら、その欄外に「何行目何字削除、何字挿入」と書き、そこに差出人の印を押します。実印である必要はありません。


内容証明の提出

郵便局へ持って行くものは、内容証明郵便にする手紙文最低3通、封筒最低1通、差出人の印鑑です。

印鑑は、訂正がある場合を考え、念のため必ず持って行ってください。認印でかまいません。

記号などの扱いによって、字数のオーバーフローが生じるおそれがあり、この場合も訂正のため印鑑が必要です。

内容証明を取扱うのは、郵便物の集配事務を取扱う郵便局か、それ以外の郵便局に限られますので、そのような郵便局へ行く必要があります。

事前に、内容証明を扱える郵便局がどこにあるか調べておくといいでしょう。

郵便局で、同一内容であると認めたときは、通信日付印や内容証明郵便である旨のスタンプなどが押されて、1通は、相手方に送付され、1通(謄本)は、差出人に戻されます。そしてもう1通が郵便局に謄本として保管されます。

相手方に送付するものは、封筒に入れ、封かんしたうえで郵送されます。

封入は、差出人がその場で行います。

封筒は差出人で用意します(郵便局は、差出人に郵便物の受領書を交付します)。

したがって、上記のとおり、実際に内容証明を出す際には同一の文書3通(相手方が1人の場合)のほか、差出人の住所・氏名を書いた封筒を持参する必要があります。

差出人控えは、郵便局で直接、返してくれます。

封筒に記載する差出人と受取人の住所・氏名は、内容証明の本文に記載されている差出人と受取人の住所・氏名と同じである必要があります。

配達証明も同時に請求した方がいいでしょう。

料金は、内容証明1枚につき430円、1枚増える毎に260円増、書留めにする必要があるので、書留め代として、430円必要。

それに一般の郵便料金が必要で、25gまで82円、合計最低でも942円必要になります。配達証明代としては、差出しの際する場合は、310円必要になります。

謄本の閲覧等

内容証明の差出人は謄本の保存期間である5年間に限り、差出郵便局で(郵便物受領書を提示して)謄本の閲覧を請求できます。

また、謄本を紛失したり、何かの事情で証明文言のある謄本を再度もらいたいときは、差出郵便局で(郵便物受領書を提示して)謄本を提出して証明をしてもらうことができます。

内容証明の謄本閲覧料は430円です。


内容証明を利用しない方が良い場合

内容証明は郵便物である文書の内容が公的に証明され、また差出日も証明されますが、その他は内容証明自体に特別の法的効果はありません。

何らかの意思表示をするにつき、つねに内容証明を利用した方が良いという訳ではなく、普通郵便の方が良い場合も少なくありません。

とりわけ、相手方の感情的な反応が十分予測されるとき、いきなり内容証明郵便でこちらの主張を行えば、返って逆効果になるケースが少なからずあります。

今後も円満に継続的取引関係を望む相手に対しては、内容証明による請求は慎重に行うようにしましょう。


内容証明を利用した方が良い場合

ただし、以下のような場合は、内容証明郵便(配達証明付)を利用しておく方が有利です。

(1) 意思表示が重要な法律効果を生じる場合(契約解除の意思表示など)
(2) 通知の時期が重要な意味をもつ場合(建物賃貸借における更新しない旨の通知・クーリングオフなど)
(3) 確定日付が特別の意味をもつ場合(債権譲渡の通知など)
(4) 時効中断の権利行使

後で裁判になった場合に、内容証明郵便が有力な証拠になる場合があります。その他、内容証明は差出人の強い態度を示すものとしての事実上の効果もありますので、請求等、権利行使の手始めとしては有効なものです。

かかえている事案が、今後訴訟に発展するなど深刻かつ重大であり、弁護士等に相談するなどして、よく考えてから利用した方が良い場合もあり、またクーリングオフなどは期間の制限があり、早くする必要がある場合もあります。

弁護士に依頼して内容証明を出してもらうことで、法的措置を準備中だということを、相手に暗にほのめかすこともできます。

無視すると、意図的に受領しなかったと見なされる

逆のケースで、相手から送られてきた内容証明郵便の受領を意図的に無視した場合はどうでしょうか。

これには次のような判例があります。

原告が平成元年八月一五日付でなした解除の意思表示の内容証明郵便は、被告Aが不在であつたため、郵便局に留置されていたが、同被告が取りに来ないので、所定の留置期間の一〇日が経過した同月二九日の経過により原告に返還されたものと認められる。

ところで、内容証明郵便が名宛人の不在により受領されない場合、郵便配達員は不在配達通知書を名宛人方に差し置き、その受領を可能にしているものであるから、右内容証明郵便は、特段の事情がない限り、留置期間の満了により名宛人に到達したと解するのが相当であるが、本件各証拠によるも、被告Aが右内容証明郵便を受領しなかつたことにつき特段の事情があつたとは認め難い。

むしろ、被告Aは、右内容証明郵便が出される二〇日前に賃料の支払を催告する書面を受け取つているから、同被告の原告に対する敵対的な態度(被告A)に鑑みると、同被告は、あえて右内容証明郵便の受領に赴かなかつたとみられる事案である。

したがって、受領を拒むと、後日不利な結果になることがあることに留意すべきです。

内容証明用紙の購入

内容証明用紙は、一般の文房具屋で市販されています。

市販されている内容証明郵便用紙は、縦書き一行20字、一枚26行で、ます目がついていますが、ます目は、差出人や郵便局の人が数えるときに好都合ということで別に必ず必要というわけではありません。

もっとも専門用紙はあらかじめノーカーボンの3枚複写だったりして便利です。

この市販の用紙をそのまま横書きで使用してもOKのようです(横書き一行20字、一枚26行でも可)。


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