支払督促の流れ

申し立て先

相手方の住所地を所管する簡易裁判所へ申し立てます。

支払督促を扱うのは、訴額に関係なく簡易裁判所であり、この点、通常の訴訟が、「訴額が140万円以上」だと一審が地方裁判所になるのとは異なるのに注意してください。

また、通常の訴訟は当事者に管轄の定めがあればそこが管轄裁判所になったり(合意管轄)しますが、支払督促に関しては当事者の合意によって管轄地を定めることはできません(専属管轄)。

支払督促に対しては、裁判所は書面審査のみを行って決定をするだけで、通常の訴訟のように、法廷を開いて双方の言い分を聞いて判断するような手続きを踏みませんし、証拠を提出する必要もありません。

支払督促の申し立てを受けた裁判所は、その理由が適当と判断した場合、支払督促正本を申立人と相手方に送付します。

その中には、相手方に支払を命ずる事項のほかに、2週間以内に異議を申し立てないときは、申し立てにより仮執行の宣言を付することが記載されています。


支払督促の費用

支払督促の申し立てには、請求する金額に応じた手数料として、必要な収入印紙を貼り付けます。

また、手数料のほか、予納郵券(切手)が必要となります。

訴額(請求する金額) 手数料(印紙)
1円~10万円以下 500円
10万円超~100万円以下 10万円ごとに 500円
100万円超~500万円以下 20万円ごとに 500円
500万円超~1,000万円以下 50万円ごとに1,000円
1,000万円超~10億円以下 100万円ごとに1,500円
10億円超~50億円以下 500万円ごとに5,000円
50億円超~ 1,000万円ごとに5,000円

支払督促の流れ

金銭などに関する紛争の発生

申立書の提出

まず裁判所に行って書記官に支払督促の申し立てをします。

(必要書類)

  • 支払督促申立書
  • 当事者目録・請求の趣旨・請求の原因
  • 収入印紙・郵便切手
  • 申立人や相手方(債務者)が法人の場合、商業登記簿謄・抄本

支払督促

簡易裁判所書記官は支払督促の申し立てを受理し、書類の審査だけで申立に理由があると認めると、支払督促正本を債務者へ送達します。
債権者に対しては、発した旨の通知だけがなされます。

(送達される書類)

  • 支払督促正本
  • 当事者目録・請求の趣旨・請求の原因

異議申し立て期間

相手方には、送達の日から2週間の異議申し立て期間が与えられます。
これに対して2週間以内に債務者から督促異議の申し立て(民事訴訟法第386条第2項、第391条第1項)がなされれば、手続は通常の訴訟手続に移ります。

仮執行宣言

支払督促が送達されてから2週間以内に債務者が督促異議の申し立てをせず、また、支払督促による債務の支払いもしない場合、申立てた簡易裁判所書記官に仮執行宣言の申し立てをします。

(必要書類)

  • 仮執行宣言の申立書
  • 当事者目録・請求の趣旨・請求の原因
  • 収入印紙・郵便切手

債務者が支払督促正本を受け取った日から30日以内に仮執行宣言の申し立てがないときは、支払督促は効力を失います。
裁判所が仮執行宣言をし、債務者に仮執行宣言付支払督促正本の送達をします。

異議申立期間

仮執行命令が相手方に送達されますが、これに対しても相手方に2週間の異議申立期間が与えられます。
2週間以内に債務者から督促異議の申し立て(執行停止の申し立て)がなされた場合、手続は通常の訴訟手続に移ります。

支払命令の確定

2週間以内に債務者から督促異議の申し立てがなされなければ、督促の効力が確定します。
その支払督促は、確定判決と同一の効力を有するものとされ(民事訴訟法第396条)、仮執行宣言付き支払命令がでると、直ちに強制執行に入ることもできます。

(必要書類)

  • 確定証明申請書

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