生活保護とは

生活保護の目的

生活保護は、暮らしに困っている人のための制度です。

生活保護法は、日本国憲法第25条1項「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」の理念に基づき制定されています。

国が、暮らしに困っている人に対して最低限度の生活を保障するための必要な給付を行うとともに、自分の力で生活していけるように援助することを目的とした制度です。

病気やけがなど何らかの理由で、自分の力だけではどうしても収入を得ることができない場合に、最低限度の生活を保障する制度です。

再び自分の力で生活できるよう援助する制度で、原則として、世帯を単位とし、その世帯の最低生活とその世帯全体の収入とを比較して、保護基準に基づいて不足している額を保護費として支給します。

生活保護の基準は一般国民生活の消費水準の7割弱になっています。

過疎地域など一番基準の低い地域は、都市部の8割弱の基準です。

この保障を受けられるのは日本国民であることが基本ですが、外国人登録をしている外国籍の人にも準じて適用されます。


生活保護の原則

(1) 申請保護の原則 生活保護は、原則として本人、家族などからの申請によって行われます。
ただし、緊急の状況にあるときは、福祉事務所長の判断で本人から申請がなくても保護を行います。
(2) 世帯単位の原則 生活保護は、世帯全体を対象として、どの程度の保護が必要かどうかを決定します。
同居する者が親族であれ、他人であれ、同じ家に住んで生活をともにしている者の集まりが世帯ということになります。
また、出稼ぎに行っている場合や入院している場合も同じ世帯になります。
(3) 必要即応の原則 生活保護は、最低限度の生活を維持するため、臨時的な経費についても必要に応じて支給します。
(4) 基準および程度の原則 生活保護は、世帯構成・年齢・住んでいる地域など、国が定めている基準に照らして、世帯の収入や貯え、資産などを活用しても、なお基準を満たすことができないときは、足りない分を補う形で行います。

生活保護を受けるための要件

生活保護は、その前提条件として資産、能力、その他利用し得るあらゆるものを活用し、さらに親子などの扶養、他の法律による給付を優先して活用することなど、暮らしに困っている人が自分自身でいろいろな努力をして、それでも生活ができないという場合に限って、始めて行われます。

具体的な要件は、次の通りです。

資産の活用

生活保護は、まず、土地・預貯金などの資金や働ける場合はその能力、その他あらゆるものを最低生活維持のために活用し、さらに扶養義務者の援助、年金各種手当など、他の法律による給付を優先し、それでもなおかつ生活に困窮する場合に初めて受けることができます。

あなたの世帯の生活必需品以外の資産は、処分あるいは最大限に活用して、生活費に充ててください(例えば、土地、家屋、預貯金、有価証券、生命保険・簡易保険・学資保険等の各種保険、自動車、貴金属類など) 。

なお、収入や資産の状況、扶養の状況などにより生活保護制度が適用にならない場合でも、年金や手当、保険の申請や就労などについて、さまざまな方法を考えてくれます。地域の民生委員または福祉課へご相談ください。

能力の活用

働くことができる人は働いて収入を得てください。働くことができるのに働こうとしない人には生活保護は適用されません。

扶養義務者による扶養

親子、兄弟姉妹、親戚など民法上の扶養義務者からの援助が生活保護に優先します。

他の法律による給付等の優先

例えば、各種年金法、雇用保険法、健康保険法、児童扶養手当法、介護保険法などによる給付または手当、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などによる福祉サービスなど、他の法律による給付を受けることができるときや、貸付金などを利用できるときは、まずその制度を活用してください。

国民健康保険は生活保護を受けている世帯には適用されない仕組みになっています。

また、40歳以上65歳未満で国民健康保険に加入していた方などは介護保険も適用されなくなります。

これらの医療費や介護サービスにかかる費用は全て生活保護から支給します。

保護の要否

生活保護は、簡単にいえば保護を受けようとする世帯の最低生活費(国が定めているその世帯の生活に必要な金額)と、その世帯の全ての収入とを比べて、最低生活費より収入の方が少ない場合に、その不足する部分に相当するお金や品物を補うという方法で行います。

住所を持つことが前提

住所を持つことが生活保護を受けるための大前提となりますから、国民であっても住所を持たない人は、どんなに生活に困窮していても保護を受けることができません。


収入の取り扱い

給与や仕送り、年金、借金、給付金など、生活保護を受けている世帯に入った収入全てがその世帯の収入になります。

保護を申請される人や保護を受けている人は、必ず収入申告書を提出してください。

これらの収入を得るために必要とした交通費などは必要経費として控除されます。

また、就労収入に対しては基礎控除や特別控除、未成年者控除などの各種控除が認められているので、働いて収入を得た場合は、働いていない場合より、世帯全体の生活費はかなり増えることになります。


保護の申請から決定までの事務的な流れ

生活保護は原則として申請によって行われるもので、本人や扶養義務者、または、同居の親族などが、市にあっては市福祉事務所、町村にあっては役場または県福祉事務所で申請を行ってください。

申請があれば、福祉事務所ではケースワーカーが家庭を訪問して、生活に困っている状況など、生活保護を受けるための要件が満たされているかなどの必要な調査を行います。

親子・兄弟姉妹などで援助してくれる人がいればその援助を受けるのが前提となります。

調査が終わると、生活保護を受けられるか、受けられないかが決定されます。

なお、この制度の問い合わせ先は、市居住者は市(社会)福祉事務所、最寄りの民生委員です。

町村居住者は県福祉事務所、町村役場、最寄りの民生委員です。


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