偽装廃業・偽装脱退

廃業

登記上法人が存続していたとしても、休眠状態であるなど、事実上事業活動がなされていないならば、日本年金機構に申し出て、会社そのものを社会保険の取り扱い事業所から外すことになります。

そうなれば、そこで働く人もいないわけですから、当然ながら、その法人に使用されていた者は保険証を返納して保険から抜けることになります。

ただし、社会保険の負担軽減を目的とした「疑似廃業」も見受けられます。


偽装脱退

健康保険法等で法人事業所の労働者は健康保険・厚生年金に強制適用されます。

しかし、経営状況が思わしくないため、保険料を滞納する事業所は、少なからずあります。

その結果、「社会保険を払う余裕がないので『全員』会社を辞めたことにして社会保険から国民年金に変わって欲しい」という経営者がいるようです。

「辞めてもらったことにして・・・」は違法です。そのように助言することも、法に触れます。

  • 労働者を使用していないことにして、社会保険から脱退させ、国保に切り替えるように勧める(脱法行為=教唆)。
  • 労働者を健康保険法第13条の2で定められた適用除外の労働者と偽る事を勧める(脱法行為)。

また、給料から社会保険料を引いているのに、会社が日本年金機構への支払いを行っていないことがあります。

実際に支払われているかどうかは、年金事務所で確認できます。


ペナルティ

社会保険の手続きをしていないことが年金事務所の立入検査で発覚した場合には、最高2年さかのぼった時点から、保険料を徴収されます。

保険料は事業主に納付責任があるので、かなりの負担になります。

事業主は、社会保険料の本人負担分を従業員個人に請求できますが、このような場合、当事者が既に退職していたり、また、支払いを拒んで退職してしまうことも多く(ちなみに本人負担額は2年遡ると賃金の3ヶ月分弱になります)、保険料の回収が困難になることがあります。

既に年金を受給している従業員の場合だと、減額されるはずだった年金額を本人が返納しなければならなくなります。この金額もかなりの額になります。


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