強制適用事業所
強制適用事業所とは、事業主や従業員の意思に関係なく、法律により加入が定められている事業所のことです。
常時5人以上の労働者を使用する事業所(飲食店、接客業、理・美容業、旅館業等 サービス業、法律・会計事務所等の自由業等は適用対象外)、および法人で労働者を常時1人以上使用する事業所は、強制適用事業所とされます。
これ以外を「任意適用事業所」をいいます。
つまり、適用事業所に雇用されれば健康保険の被保険者になり、適用対象外の事業所に雇用されれば、国民健康保険の被保険者となります。
種別 | 業種 | 区分 | 従業員数 | 適用 |
---|---|---|---|---|
適用業種 | 製造業、 物品販売業、 土木建築業、 運送業、 金融保険業 公告業、 教育研究調査業、 電気供給業、 医療保険業、 通信報道業 など16業種 |
法人 | 強制 | |
個人 | 5人以上 | 強制 | ||
5人未満 | 任意 | |||
非適用業種 | 農林・畜産・水産業、 飲食店、接客業、 理・美容、 旅館業等サービス業、 映画演劇等の娯楽業、 法律・会計事務所等の自由業、 神社・寺院・教会、など |
法人 | 強制 | |
個人 | 5人以上 | 任意 | ||
5人未満 | 任意 |
「会社の運営が厳しく、社会保険をやめたい」と相談されることがあります。
しかし、強制適用事業所であれば、事業主や従業員の意思などに関係なく、社会保険の加入義務が課せられます。
社会保険料の納付負担が大きいことから、いわゆる「加入逃れ」をしている事業所が少なくありません。倒産したのでもなく、社員がいるのに、保険の加入を打ち切るなどということは、あってはならないことです。
会社が保険料の負担ができないまま時間が過ぎると、未納額が累積し、さかのぼって追徴された場合、その金額は会社にとっても従業員にとっても大きなものとなります。
日本年金機構では、加入逃れが疑われる事業所に対しては、取り締まりを強化し、雇用保険の加入者情報を新たに使って、対象の可能性がある事業所に適用するよう指導していき、加入逃れを許さないという方針を発表しています。
法人なら、代表者や役員も従業員同様
法人の代表者や役員は、社会保険では、法人に使用されている人と解釈します。
一般従業員も、社長も役員も、いずれも、法人に使用されている人と解釈しますので、社会保険上は、社長や従業員の区別はありません。
個人営業の事業主は社会保険に加入できないのに、法人の事業主であれば加入できるのはこのためです。
会社という法人は、保険料を納めたり手続きをしたりする義務を負っており、社長は、法人の代表という立場と同時に、自然人(人間)として法人に使用されているという立場にもあります。
しかし、両者は、全く別々の立場です。保険証を持っているという観点からは、他の一般従業員の場合と何らの区別も差別もありません。