出勤停止

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懲戒処分としての出勤停止

一般に自宅待機や出勤停止と呼ばれるものには2つの種類があります。

処分としての出勤停止 労働者の就労を一定期間禁止し、その期間、賃金を支給しないという懲戒処分。
就業規則の懲戒規定にその旨の規定がなければできない。
業務命令としての自宅待機 業務上の必要から出勤停止・自宅待機を命ずることで、賃金は支払われなければならない。
就業規則に根拠がなくても命令できる。
(ネッスル事件 東京高裁 平成2.11.8、星電社事件 神戸地裁 平成3.3.14)

賃金が支払われなくても許されるのは、就労拒否が使用者の帰責事由によらないときに限られます(民法536条2項、労働基準法26条、京阪神急行電鉄事件 大阪地裁 昭和37.4.20)。

この場合、減給に関する労働基準法第91条の規定は適用されません。

したがって、法91条の制限を超える減給も可能です。

出勤停止期間中の賃金を受けられないことは、制裁として出勤停止の当然に結果であって、通常の額以下の賃金を支給することを定める言及の制裁に関する法第91条の規定には関係はない。

(昭和23.7.3 基収2177号)


出勤停止を命じるためには、不正行為の再発、証拠隠滅のおそれなど緊急かつ合理的な理由が必要です(日通名古屋製鉄事件 名古屋地裁 平成3.7.22)。

行政解釈においても、「出勤停止の期間については公序良俗の見地より当該事犯の情状の程度等により制限のあるべきことは当然である」とされています(昭和23.7.3 基収第2177号)。

懲戒解雇の前置措置としての出勤停止、すなわち、懲戒解雇とすべきか否かを調査し決定するまでの間、出勤停止という措置を取る場合で、結果として懲戒解雇が成立しなかったとするなら、その出勤停止期間中については、労働基準法第26条により休業手当が支払われるべきということになります。

なお、調査目的の自宅待機命令ではなく、その社員を勤務に就けることが不適当と認められる場合の自宅待機命令の場合には、その社員が勤務に就いた場合には会社に多大な損害や迷惑が発生する可能性があるなどの相当な理由が必要になると思われます。


出勤停止の期間

出勤停止の期間については、法の制限はありません。

しかし、あまりにも長期に渡るものは、その出勤停止処分が適切かどうか、問われることになります。

一般的には2週間以内で定められているケースが多いようです。

通達では「出勤停止の期間については、公序良俗の見地より当該事犯の情状の程度等により制限のあるべきことは当然である」とされており、重すぎることのないよう求めています。

西日本鉄道出勤禁止処分効力停止等仮処分申請事件 福岡地裁 昭和48.4.3

本件出勤禁止処分は、懲戒処分までの暫定措置であるが、懲戒事由があってもさほど重い懲戒に値しない場合には、出勤停止には出来ないと解する。

特に本件の場合、出勤停止は4ヶ月以上にもわたる場合があり、その間平均賃金の60%の賃金しか得られず、賞与は全額受けられないとされているので、かかる処分が許されるのは、懲戒としてその者を職場から最終的に排除するようなもの(諭旨解雇以上)の可能性が十分予想される場合のみと解すべきである。

ただし、それ以下の懲戒処分は、就業規則上出勤停止となっており、その最高期間は10日間にすぎず、そのために出勤禁止処分を行うことはあまりに均衡に失するからである。


出勤停止期間中の行動制限

「自宅謹慎」などとして、この期間の行為の制限を命じることがありますが、労働者はこの間の労務提供の義務を負わないことになりますので、私生活等を制限することはできないと解されています。

したがって、会社に無断で外出したとしても、この点を問題にして不利益処分に課すことはできません。


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