雇用期間の有無と退職手続きについて

使用者による労働契約の解除

  期間の定めのある契約
(有期労働契約)
期間の定めのない契約
実質的要件 やむを得ない事由
民法第628条
合理的理由
(判例理論)
手続き的要件 30日前の解雇予告ないし30日分以上の平均賃金の支払い(労働基準法第20条1項)
  1. 日々雇い入れられる者
    →1ヶ月を超えて引き続き使用されるに至った場合
  2. 2ヶ月以内の期間(※)を定めて雇用される者
    →所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合
  3. 季節的業務に4ヶ月以内の期間(※)を定めて雇用される者
    →所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合
  4. 試の使用期間中の者
    →14日を超えて引き続き使用されるに至った場合

※契約を解除するには「やむを得ない事由」が必要

<例外>(労働基準法第20条但書)

  1. 天変事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能になった場合
  2. 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合
損害賠償その他 使用者に過失(※1)がある場合には、損害賠償(※2)の請求ができる(民法第628条後段)
※1 使用者の故意・過失または信義則上これと同視すべき事由
※2 損害賠償額は、残りの期間の賃金
残りの期間の賃金請求ができる
民法第536条2項〔債権者の責に帰すべき事由による履行不能 債権者主義〕)

労働者による労働契約の解除

  期間の定めのある契約
(有期労働契約)
期間の定めのない契約
実質的要件 やむを得ない事由
民法第628条
無し
手続き的要件 無し
(即時解除)
2週間前の通告(民法第627条1項)
但し、やむを得ない事由がある場合には、即時解除ができる(民法第628条
損害賠償その他 2週間前の通告(民法第627条1項)
但し、やむを得ない事由がある場合には、即時解除ができる(民法第628条

「やむを得ない事由」とは、「雇用契約を締結した目的を達するにつき重大なる支障を惹起する事項」(大判 大正11.5.29)をいいます。

具体的には、経営の失敗や不況による事業の長期休止・廃止、業務外の疾病により相当長期間就労不能となった場合、仕事の継続により労務者の身体・生命に危険が予測される場合、近親者の介護の必要、家庭事情の急激な変動等をいいます。

「天変事変その他やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度の不可抗力に基づき、かつ突発的な理由で、事業の経営者として社会通念上とるべき手段をもってしても通常どうしようもない場合で、解雇の予告をする余裕がないものをいいます。

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