強制執行とは
債権者に代わって国家が取り立てる
勝訴の判決を得たが、相手が従わない(金銭を支払わないなど)ことが現実には起り得ます。
その際、「裁判に負けたのだから潔く金銭を支払いなさい」と相手方に直接要求するのは構いませんが、勝手に金庫を開けて金を取り出したり、無理矢理奪い取ったとしたら窃盗、強盗の罪に問われる可能性があります。
そこで個人の行動を制限する代わりに、国家が強制的に権利を実現する制度(強制執行)が設けられています。
金銭債権、建物明渡し請求権などを強制的に実現する手続です。
執行手段による区別
具体的には、次の3つの方法があります。
- 直接強制
- 執行機関の手で直接に請求権の内容を実現する方法です。未払給与の取り立てなどはこの方法によって行われます。
- 間接強制
- 債務者が義務を履行しないとき遅れた期間に応じて債務者に損害賠償を命ずるなどの心理的な圧迫を加えてその義務の履行を強制する方法です。
- 代替執行
- 債権者が第三者(執行官等)に債務の内容を実現させるもので、債務者からはその費用を金銭で取り立てる方法です。
※間接強制、代替執行は、直接強制に適しない場合にのみ利用できます。
本執行と保全執行の違い
強制執行まですることの損得
債務者の資力が乏しい場合には、強制執行のメリットはあまりありません。
強制執行は最後の手続きであり、手続きが複雑で、時間的、金銭的な負担は大きくなるので、必ずしも十分な満足を得られるとは限りません。
訴訟を起こすまでにいろいろな債権回収方法を実行したはずですので、強制執行以外の対処方法はないと考えた方がよいでしょう。