セクハラの事実と損害賠償
セクハラの事実が認められた場合
以下のような対処が検討されることになると思われます。
(1) | セクハラをやめさせる |
(2) | 加害者に注意書を出す。謝罪文をもらう。 |
(3) | 就業規則上の処分を行う。 自宅待機や減給、ひどい場合は、解雇を求めます。 |
(4) | 配置転換等を考える。 顔を合わせたくないという被害者の要望は強いようですが、小さい会社だと簡単に移らせることができない場合もあります。 |
(5) | 民事上の責任を問う。 損害賠償責任を求められます。慰謝料、治療費、休業補償などを請求されます。 また、民法によれば名誉毀損として謝罪広告を請求できるとされます。 失業期間で失業給付が出た場合、休業補償として、賃金と失業給付の差額が認められる場合があります。 病気などになった場合、その行為との間に相当因果関係があると認められることが必要です。 |
(6) | 刑事上の責任を問う 傷害などある場合は、刑事上でも責任を問われることがあります。 強姦罪、強制わいせつ罪などは、本人が告訴しないと犯罪にならないので、刑事処分を求めることになります。 加害者がわからない強姦罪だと捜査は容易ではないし、知り合い同士のケースでは合意があったかなかったかを判断するのは困難なため、警察を説得できるかがポイントになります。 弁護士と相談して、刑事告訴を利用し、警察が捜査する場合もあります。 |
損害倍賞
民事上は、上司に対して不法行為責任(民法第709条)、会社に対して不法行為責任(民法第715条)、債務不履行責任(民法第415条)を追求される場合があります。
民法第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法第715条(使用者等の責任)
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
民法第415条(債務不履行による損害賠償)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
行為者が社長や取締役だったときは、民法44条により、会社が損害倍賞責任を負担します。
民法第44条(法人の不法行為能力等)
法人は、理事その他の代理人がその職務を行うについて他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
2 法人の目的の範囲を超える行為によって他人に損害を加えたときは、その行為に係る事項の決議に賛成した社員及び理事並びにその決議を履行した理事その他の代理人は、連帯してその損害を賠償する責任を負う。
会社側の使用者責任を問う場合は、立証責任が被害者側にあります。
ちなみに、使用者責任の時効は3年です。債務不履行で争うと、時効は10年です。
弁護士費用(1割程度)を損害に含めることが認められる場合があります。