セクハラ加害者からのヒアリング
原則として、加害者とされる者から事実関係の確認を行う必要があります。
ただし、相談者自身が相談・苦情を相手に伝えることを望まない場合もありますし、相談・苦情があったことを相手に伝えることで、相談者に何らかの影響が生じることもあり得ますので、加害者とのヒアリングを行う際には、事前に必ず、相談者の了解を得ることが必要です。
ヒアリングをする主旨と目的を説明し、苦情内容を伝える。
このとき、相談者を明らかにするかどうかは、被害の内容や程度等により判断することとなりますが、明らかにする場合は、必ず相談者の了解を得ておきます。
また、事実が確認されるまでは、加害者であるという先入観をもった対応は避けます。
(質問例)
- こうした相談・苦情が寄せられていますが、事実関係を教えてください。
これは、苦情の内容についての事実確認ですから、ありのままを話してください。 - あなたのプライバシーを守り、秘密は厳守します。
事実関係の確認
(質問例)
- 相談・苦情の対象となっている行為はありましたか。
- 実際には、どのような行為でしたか。いつ、どこで起こりましたか。
- なぜ、そうした行為を行ったのですか。
- そのとき相手の対応はどうでしたか。
- あなたと相談者とはどのような関係ですか。
- その後、相談者の態度に何か変化は見られますか。見られるとすれば、それは、どのような変化ですか。
- あなたの主張について、誰か協力者はいますか(目撃者など)。
相談者への報復の禁止
加害者とされる者には、相談したことを理由に、いかなる形でも相談者に報復的な行為を行わないこと、また、申し立ての対象となっている言動を続けることも、事実上の報復行為となることを伝えます。
当事者間での話し合いの禁止
この段階では、相談者への相談・苦情の取り下げの強要が行われる場合もありますので、苦情処理機関によって事実関係の確認がなされる間、この問題について当事者間で話し合うことを禁止しておきます。
セクシュアルハラスメントを許さないという企業の意思の明示
加害者とされる者に対しても、セクシュアルハラスメントの問題については、企業が責任をもって問題解決にあたること、また、企業には、セクシュアルハラスメントのない職場をつくる責務があることを明確に伝えます。
第三者(目撃者、同様の被害を受けた同僚等)のヒアリング
第三者へのヒアリングを行うと、問題が社内外に漏れやすくなります。
第三者へのヒアリングであっても、必ず事前に、相談者の了解を得ておきましょう。
問題が社内外に漏れると、問題が複雑・深刻化したり、職場環境が悪化したりすること、また、そうした場合には、相談者が二重に傷つくことを、第三者にもよく理解させておきます。
また、他人のプライバシーに関わる事項を漏洩した場合には、企業として処分もあり得ることを伝えます。
記録の保存
ヒアリングでの聴取事項、証拠書類のコピー等は、必ず、記録として保存しておきます。
記録にあたっては、聴取事項を書面で示したり、復唱するなどして、必ず聴取した相手に内容に相違がないか確認をとります。
資料の収集、作成及び保存に際しては、プライバシーの保護について、十分留意する必要があります。
事実認定結果の説明
認定の結果を伝えるにあたっては、その認定に至った根拠やプロセスを丁寧に説明することが大切です。
また、当事者から不服申立があれば、再調査を行うなどの対応も必要でしょう。
事実認定が不可能であった場合
苦情処理機関ではどのような調査を行ったのか、なぜ不可能であったのか、今後、相談・苦情の対象となっている問題の解消にむけてどう対処していくかを率直に述べ、当事者の意見を聞きましょう。
当事者が再調査を求める場合には、今後、どのような手段で再調査していくか、当事者と相談しながら再調査を行っていきます。