定期昇給の廃止

義務と努力義務がある

定期昇給は、使用者が義務を負う場合と、単に努力義務を負うに過ぎない場合があります。

義務を負う場合(例)

就業規則に「会社は、毎年4月1日をもって基本給の○%を昇給させる」などと定めている場合

努力義務の場合(例)

就業規則に「会社は、4月に定期昇給を行うことがある」「会社は、会社業績および本人の勤務成績に応じて昇給させることがある」という定めがある場合


定昇廃止が労働条件の不利益変更になる場合もある

定昇が義務の場合は、裁判なども不利益変更としています。(第一小型ハイヤー事件 最高裁 平成4.7.13、ハクスイテック事件 大阪高裁 平成13.8.30)

定昇が努力義務の場合は、廃止しても不利益になるかどうか、微妙ですが、可能性としての定期昇給の権利が失われるとすれば、何らかの不利益変更に当たると考えられます。

近年、定昇制度を廃止し、成果主義賃金制度を導入する企業が多く見られますが、裁判所の判断を見ると、変更後の賃金制度において、一度に10~15%の減額となる場合には、内容の相当性が認められることは難しいようです。

また、変更が合理的か否かの判断には、不利益変更の緩和・軽減措置、経過措置などが勘案されます。


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