労働組合とは

労働者が2人以上集まれば自由に結成できる

事務職や技術職、あるいは正社員や契約社員・パートタイマーなど、職種や名称はさまざまでも、働いて得た賃金(給料)によって生計を立てている人は皆、「労働者」ということになります。

労働者は、就職する際には、希望にかなう仕事や労働条件の企業を選ぶわけですが、なかなか希望通りの就職先が見つかることは少なく、かといって、それまで働かずにいることは困難です。

本来、労働条件は労使が対等な立場で決めるべきものですが、個々の労働者が労働条件が悪いことを理由に雇い入れに応じないとしても、使用者はその労働条件で働く他の労働者を見つけることもできるため、労働者は使用者に対し、弱い立場に立たざるをえません。

労働基準法では最低限の労働条件の制約を加えていますが、労使は必ずしも対等な立場とは言い切れないため、「低い労働条件では誰も働かない」といううように、まとまって行動することによって対等な立場に近づこうとするわけです。

こうして労働者の団結で作られたものが労働組合です。

労働者が団結する(労働組合を作る)権利は憲法で保障されています。

憲法第28条(勤労者の団結権)

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。


憲法第13条(個人の尊重)

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


憲法第27条(勤労条件の基準の法定)

・・・・・

2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

労働組合は、労働者が2人以上集まれば、いつでも自由に結成することができます。

役所などに届け出る必要もなければ、使用者の承認を受ける必要もありません。

自主的に結成され、民主的な組合規約を備えていれば良いのです。

労働組合法は、労働者が正当な組合活動を行ったことによって、使用者がその労働者に不利益になるような取り扱いをすることを禁じています。

労働組合を結成する場合は事業場単位になります。

例えば、あなたの会社が福岡工場、広島工場、大阪工場、名古屋工場、静岡工場、横浜工場、仙台工場、札幌工場、および本社のような組織になっていたら、それぞれの工場および本社がひとつの事業場になります。

ただし、事業場の範囲を超えた労働組合もあります。


労働組合のメリット

数を頼りに使用者との交渉を有利に進めようというのは当然ですが、労働組合の最大のメリットは、その活動が法律で守られていることです。

例えば、労働者が、解雇予告や転勤命令を受けて不服に思い、会社と交渉したいと思っても、会社側が話し合いに応じなければ、いつまでたっても、埒が明きません。

ところが、労働組合が団体交渉を申し込んだときに、会社側がこれを拒否した場合、それは法律違反(労働組合法第7条2項)となる可能性があります。

とりわけ、企業倒産などの危機的状況下では、個人で会社と交渉することは、ほとんど不可能なので、同じ境遇に置かれた人たちが労働組合に結集して行動したりしています。


労働組合の推定組織率

労働組合数 労働組合員数
(人)
対前年比 推定組織率
(%)
労働組合数
(%)
労働組合員数
(%)
昭50 69,333 12,590,400 2.2 1.0 34.4
昭55 72,693 12,369,262 1.3 0.5 30.8
昭60 74,499 12,417,527 △ 0.1 △ 0.4 28.9
平02 72,202 12,264,509 △ 0.6 0.3 25.2
平07 70,839 12,613,582 △ 1.2 △ 0.7 23.8
平12 68,737 11,538,557 △ 0.9 △ 2.4 21.5
平17 61,178 10,138,150 △ 2.6 △ 1.7 18.7
平22 26,367 10,053,624 △ 1.2 △ 0.2 18.2
平23 26,052 9,960,609 △ 1.2 △ 0.9 18.1
平24 25,775 9,892,284 △ 1.1 △ 0.7 17.9
平25 25,532 9,874,895 △ 0.9 △ 0.2 17.7
平26 25,279 9,849,176 △ 1.03 △ 0.3 17.5
平27 24,983 9,882,092 △ 1.2 0.3 17.4
平28 24,682 9,940,495 △ 1.2 0.6 17.3

資料出所 厚生労働省「労働組合基礎調査」(各年6月30日現在)

(注1) 労働組合数は、単位労働組合の労働組合数を集計したものです。なお、単位労働組合とは、単位組織組合(下部組織を持たない組合)と単一組織組合(下部組織を持つ組合)の最下部組織である単位扱組合を合わせて集計したものをいいます(以下同じ)。

(注2) 単一労働組合の労働組合員数を集計したものです。なお、単一労働組合とは、単位組織組合と単一組織組合の本部を合わせて集計したものをいいます(以下同じ)。

(注3) 労働組合員数を雇用者数(総務省統計局「労働力調査」各年6月分)で除して算出したものです。

1996年と2001年は事業所統計調査の調査年で、雇用者数(全国・東京都)は確定数字です。

マックに初の労働組合発足 非正規社員10万人も対象に

日本マクドナルドの約200人の正社員、非正規社員が同社初の労働組合となる「日本マクドナルドユニオン」を立ち上げ、29日、全国の店舗で加入の呼びかけを始めた。

約5000人の正社員だけでなく、アルバイトやパート社員など約10万人の非正規社員も対象に組織拡大をめざす。

委員長には名古屋市の店舗で店長を務める栗原弘昭氏が就いた。

栗原委員長は「売り上げ至上主義と思われる経営によって長時間労働や、それによる仲間たちの退職という現状がある。現場の声を届けないと会社は窮状に気づいてくれない」と語った。

29日には労働条件の改善などを求める要求書を同社に出し、回答を求めた。

同社が23日発表して話題を呼んだ正社員の60歳定年制廃止についても「従業員が十分な説明を受けていない」(栗原委員長)といい、今後、労使交渉の議題とする可能性もあるという。

組織づくりでは、連合の地方組織に加入呼びかけの協力をしてもらうなど、連合の全面的な支援を受ける。連合の古賀伸明事務局長は「多くのパート社員やアルバイトを抱えて全国展開する外資系企業に労組ができる意義は大きい」と話しており、バックアップに力を入れる構えだ。

同社は「関連法に基づき誠実に対応する。要求書の内容を精査したうえで交渉に臨む」としている。

(asahi.com 2006.5.29)

三池労組が解散 国内の炭鉱労組姿消す

60年安保闘争と連動して、戦後最大の労働争議といわれた「三池争議」を闘った福岡県大牟田市の三池炭鉱労働組合(三池労組、芳川勝組合長)が10日で解散し、46年の発足から59年の歴史を閉じた。

最大時で2万5000人を数えた組合員は、組合分裂や相次ぐ解雇などで最後は14人だった。97年に三池炭鉱が閉山して8年。国内から炭鉱労働組合がすべて消えた。

解散式は同市内のホテルで開かれ、労組OBや主婦会など約150人が集まった。

芳川組合長は「炭鉱労働者が人として生きるため、劣悪な職場環境の改善や、不当な解雇の撤回を求めて、歯を食いしばって頑張ってきた。私たちは正しい道を歩んできた」と述べ、解散を宣言した。

458人の死者を出した63年の三川鉱炭じん爆発事故を始め、坑内火災などで亡くなった1100人余の犠牲者に黙祷(もくとう)をささげ、組合歌「炭掘る仲間」を全員が腕を組んで合唱した。

続いて、労組の魂を天に返すという意味の「返魂式」で、組合旗を燃やした。

解散式後のレセプションには、槙枝元文・元総評議長や旧日本炭鉱労働組合(炭労)の千葉隆・前委員長らが招かれた。

槙枝氏は「若いころ、炭鉱労働者の運動に学べとよく言われた。権力をチェックするという意味では、今でも労働運動全体が三池労組に学ぶことは多い」とあいさつした。千葉氏は「日本の労働運動史の中で三池魂は不滅だ」とたたえた。

(asahi.com 2005.4.10)


労働組合法上の労働組合である条件

(1) 労働者が主体となって組織すること
(2) 労働者が自ら進んで結成すること
(3) 労働条件の維持・改善を主目的とすること
(4) 組合規約に下記の取り決めを含むこと

労働組合規約に定めておかなくてはならない事項

(1) 労働組合の名称
なお、必ず○○労働組合という名前にしなくても良い(例:○○従業員組合、○○社員会、○○○○会等)。
(2) 組合事務所の所在地
なお、どこに置くかは組合の判断で決めて良い。許可を得ていなくても、会社内においてもかまわない。
(3) 組合員の全員が労働組合のあらゆる問題に参加でき、差別の取り扱いを受けないこと
(4) 組合員は誰も、どんな場合も、人種や宗教、性別、身分などの違いで、組合員としての資格を奪われないこと
(5) 役員の選挙は、組合員(または代議員)の直接無記名投票で行うこと
(6) 総会は、少なくとも毎年1回開くこと
(7) 組合費など労働組合の財源やその使いみちなどの経理状況を少なくとも毎年1回組合員に公表すること(公認会計士などの監査人の証明が必要)
(8) ストライキは、組合員(または代議員)の直接無記名投票により過半数の同意がなければ行わないこと
(9) 規約改正をするときは、組合員の直接無記名投票により過半数の支持がなければできないこと

組合員の範囲

組合員の範囲は組合が自主的に決めればよいとされています。

例えば、プロ野球選手会、管理職ユニオン等もあります。

ただし、次のように使用者側の利益代表者が参加すると、自主性を持った労働組合とは認められません。


労働組合法上の労働組合にあってはならない条件(労働組合法第2条)

(1) 使用者側の利益代表者が参加している
(2) 使用者側から経済的援助を受けている
(3) 共済・福利事業のみを目的としている
(4) 政治活動や社会運動を主目的としている

使用者の利益代表とは以下のような人等をいいます。

  1. 役員
  2. 人事、労働関係に関する秘密情報に接する地位にある者
  3. 雇人、解雇、昇進、異動に関して直接の権限をもつ監督的地位にある者
  4. 人事、労働関係の部署の幹部
  5. 秘書
  6. 人事、労働関係の機密の事務を取り扱う者

関連事項:管理職


労働組合が従業員の過半数を代表するためには

例えば、会社全体、つまりおのおのの工場と本社全体の労働者が全員で10,000人おり、その中で名古屋工場に900人いるなら、名古屋工場で結成する労働組合が労働者の過半数を代表しているといえるようになるには、451人以上の労働者が労働組合に加入する必要があります。

ただし、900人の中に役員、雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者を含めてはいけません。

そして、アルバイトやパート労働者については、900人の中に含めなければなりません。


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