平和義務・平和条項

平和義務

労使間で労働協約を結んだ以上、その協約事項に関しては、その有効期間中はその内容を尊重するという義務を、「平和義務」と呼びます。

すなわち、平和義務とは、労働協約の当事者が協約有効期間中、協約に定められた労働条件その他の事項の変更・廃止を求めて争議行為を行わないという不作為義務と、その統制のもとにある組合員らに対しこれに関した争議行為を行わないように働きかける作為義務を合わせたものです。

ただし、平和義務に違反する争議行為は、企業秩序の侵犯にまではあたらず、個々の労働者を懲戒処分にすることまでは許されないとするのが、裁判所の判断です。


平和条項

平和条項とは、労使間の紛争が生じた場合には、一定の手続(一定期間の協議・あっせん・調停・予告など)を経なければ争議行為に訴えないことを定めた条項をいいます。


義務違反

損害賠償

電気化学工業事件 新潟地裁 高田支部 昭和24.9.30

協議当事者が平和義務・平和条項に違反した場合は、その違反行為によって惹起された全損害を相手方に請求し得るものとする。

懲戒処分

弘南バス事件 最高裁 昭和43.12.24

平和義務は労働組合が負担すべきものであり、その義務違反自体を理由として争議行為参加者を懲戒処分とすることはできない。

ただし、平和義務違反の争議行為は正当性を持たないと評価される余地があり、正当でない争議行為を行ったことを理由とする懲戒処分の可能性が生じることもあります。


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