以前3ヶ月間とは
賃金締切日があれば、それが起算点になる
算定事由の発生した日は含まず、その前日からさかのぼって3ヶ月です。また、3ヶ月とは暦日の3ヶ月です。
たとえば、5月10日に算定事由が発生した場合には、5月9日から2月10日まで(89日、閏年で90日)となります。
なお、賃金締切日がある場合には、算定事由発生日の直前の賃金締切日から起算することとされています。(労働基準法12条2項)
たとえば、賃金締切日が毎月20日と定められている事業場で、8月10日に算定事由が発生した場合には、直前の賃金締切日すなわち7月20日から起算することになりますから、4月21日から7月20日までの期間中の賃金の総額をその期間の総日数91日で除して算定することになります。
また、「以前3箇月」には算定事由発生日当日を含みませんから、賃金締切日に算定事由が発生した場合にも、当日から起算するのではなく、1月前の賃金締切日から起算することになります。(昭和24.7.13 基収第2044号)
したがって、上記の場合で7月20日に算定事由が発生したときは、7月20日の締切日から起算するのでなく、6月20日から起算します。
なお、賃金項目によって締切日が異なる場合は、各賃金ごとにその直前の締切日を基準とし、その前日からさかのぼって計算します。
賃金締切日の変更があった場合
まず、次の3種類の暦日数を調べます。
- 単純に、新しい賃金締切日から3ヶ月さかのぼり、その日からの新しい賃金締切日までの日数
- 新しい賃金締切日から3ヶ月さかのぼるが、改正前の賃金締切日から改正後の最初の賃金締切日までの端数も1ヶ月とみなした歴日数
- 新しい賃金締切日から3ヶ月さかのぼるが、改正前の賃金締切日から改正後の最初の賃金締切日までの端数は1ヶ月とみなさずに、さらに改正前の賃金締切日までさかのぼって計算した歴日
この2.と3.の暦日数を計算し、1.に最も近い方を選びます。(昭和25.12.28 基収3802号)
差が同日数の場合は、2.の方法によります。
(例)賃金締切日が毎月15日だったが、これを25日に変更した。9月30日に即日解雇するため、平均賃金の計算が必要となった。
- 9月25日~6月26日の歴日数・・・92日間
- 9月25日~7月16日(改正前の締日)の歴日数・・・72日間
- 9月25日~6月16日((2)の締日の前月の締日)の歴日数・・・102日間
1.と2.の差は20日、3.と1.の差は10日であるため、1.に近い方の(3)が、平均賃金計算のための期間となります。
算定期間途中で出向となった場合
労働基準法研究会報告(昭和59.10.18)は、出向元期間と出向先期間を合算して一つの労働契約関係と考え、合算額をもって算定基礎としなければならないとしています。