賃金の総額とは

平均賃金の基礎には、家族手当や割増賃金も含まれる

算定期間中に支払われる、法第11条に規定する賃金のすべてが含まれます。

したがって、基本給はもとより、歩合給、家族手当、通勤手当(通勤定期券代)、精皆勤手当、年次有給休暇の賃金、割増賃金、昼食料補助等もすべて賃金の総額に含まれます。

また、現実に支払われた賃金だけでなく、賃金の支払いが遅れているような場合は、未払い賃金も含めて計算します。


平均賃金の算定の基礎に含まれないもの

逆に、賃金総額から控除されるのは、次のようなものです。

  1. 臨時に支払われた賃金(私傷病手当、結婚手当、退職金等、加療見舞金、退職金、臨時的・突発的な事由に基づいて支払われるもの、又は支給事由の発生が不確定で、且つまれに発生するもの)
  2. 3ヶ月を超える期間毎に支払われる賃金(半期毎の賞与など。賞与であっても3ヶ月ごとに支払われる場合は参入されます)
  3. 通貨以外のもので支払われた賃金で、一定の範囲に属しないもの(法令又は労働協約の定めによる現物給付など)

例えば、時効によって消滅した年次有給休暇を買い上げたことによって支払った賃金は、本来の年次有給休暇に対する賃金とは性格を異にするものであるため、「臨時に支払われた賃金」とする方が自然であり、平均賃金の算定基礎には算入すべきではないと考えられます。

平均賃金の支払事由が発生した後、ベースアップが行われた場合は、平均賃金にさかのぼって反映させる必要はないとされています。これは、平均賃金の算定は、支給理由発生時点において行われるべきとされているからです。(昭和23.8.11 基収2934号)

なお、割増賃金の計算に算入しなくてよいとされる「通勤手当」なども除外すべきではないか、という意見もありますが、厚生労働省では、「通勤手当を平均賃金算定の基礎から除外するのは違法である」(昭和22.12.26 基発第573号)という見解をとっています。

関連事項:割増賃金からの除外


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