人事考課

人事考課は基本的には使用者の裁量となる

人事考課は使用者の裁量の範囲内ですが、次のような点での配慮が必要とされます。

(1) 均等待遇(労働基準法3条)に抵触していないか。
(2) 男女同一賃金(労働基準法4条)であるか。
(3) 配転・昇進・教育訓練に関して男女均等取り扱い(男女雇用均等法6条)がなされているか。
(4) 不当労働行為(労働組合法7条)に該当しないか。
(5) 公序良俗(民法90条)に反しないか。
(6) 権利濫用(民法1条3項)に該当しないか。

公平な評価が行われているかチェックが必要

人事考課を行うにあたっては、以下の点に注意が必要です(ダイエー事件 横浜地裁 平成2.5.29など)。

(1) 公平無私な評価を行っているか。
(2) 裁量権の範囲を超えて、濫用となっていないか。
(3) 職務と無関係な事項についての個人的報復から不当な目的をもって評価していないか。
(4) 事実に関する誤認がないか。
(5) 重要視すべき事項を殊更に無視し、それほど重要でないことを強調して評価していないか。

メンタルヘルスへの影響

成果主義が働く人に及ぼす影響について、労働科学研究所の鈴木安名研究員は以下のように指摘しています。

(1) 総額人件費削減が背後にある場合、従業員間の競争が強まって、仕事のあり方が個人中心となり、仕事のノウハウや技術・技能を他人に教えなくなる。
(2) 成果主義導入の経済的背景には、時間の圧力の強まりがある。加えて、申告目標の達成期間は、長くて1年、多くは半年以下の短期である。目標達成期間が短い中で成績をアップさせようとするため、より長時間労働となる。
(3) 成果主義では、目標は与えられるものではなく、自己申告するものである。そして真に自由な意思で決めようが、半ばノルマ的・半強制的なものであっても、最終的には自分で決める形をとる。自由な意志で決めたものほど、達成への意欲と責任を感じる。
(4) 成果主義は、あれこれの基準を設定して従業員間の競争を人為的に促すシステムである。システムのメンテナンスが不可欠で基準が不変でないうえ、評価が上下するので、不安定要素が増し、不安感を高める。

そのうえで、現実には成果主義の適切な運用には手がかかるし、副作用も大きな問題になり、企業は成果主義の光と影を見すえ、これを適切にコントロールすることが望ましいとも、述べています。

――論文「成果主義下の健康と生活」より


成果主義が失敗するとき

以下のような共通点が見られるとのことです(本寺大志氏・トーマツコンサルティング)

(1) 経営改革という全体的な枠組みの中で人事制度がとらえられていない
(2) 制度を変えれば人は変わると安易に考えている
(3) 人事制度という経営の中での"一部分"の発想で、人事部が人事部内で人事部運用のために作っている

経営改革=コスト改善となり、「人員削減と賃金格差のための評価の厳格化」「その道具としての成果主義人事」として社員に受け止められ、その結果、社員のやる気を損なうケースが少なからずみられるようです。


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