改正労働基準法解説レポート

令和5年4月1日から、月60時間超の割増賃金率の引き上げが中小企業にも適用となります。
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サンプル条文や改訂例を参考に、就業規則の改訂を行ってください。

変形労働時間の賃金の保障

時間給で決められている場合

この場合は簡単で、年次有給休暇を取った日の所定労働時間で決まります。

変形労働時間制を採用している事業場における時給制労働者の変形期間中における労働基準法第39条の通常の賃金の算定方法如何
各日の所定労働時間に応じて算定される。

(昭和63.3.14 基発第150号)

したがって、年次有給休暇を取った日に5時間の所定労働時間が予定されていれば5時間分の、9時間の所定労働時間が予定されていれば9時間分の賃金を支払うことになります。

当然、長い所定労働時間が定められた日に休暇を取る方が得になりますが、これはやむを得ないことです。

逆に、保障額が一律となる方法(平均賃金方式・標準報酬日額方式)を採用すると、所定労働時間が短い日に休暇を取得する方が得になり、同じ問題が生じます。


日給で決められている場合

通常、日給制の場合、所定労働時間の長短にかかわらず同じ日給額が支払われますから、労働者としては、所定労働時間の長い日に休暇を取得する方が得になります。

これは、日給制を採用している以上、やむを得ないことです。


月給で決められている場合

所定労働時間の長い日に休暇を取得した方が得になることには変わりはありませんが、月ごとの給料額は一定であるため、休暇の取得が特定日に偏ることは減ると思われます。

結局、原則的な労働時間制度ではない変形労働時間制を採用した以上、何らかの副作用は避けられず、労働者の逆選択をできるだけ少なくするためには、1日の所定労働時間の長短を最小限に抑えるしか方法はないことになります。


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