職場復帰可否の判断基準

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職場復帰支援の流れ


解雇・退職が想定される場面

(1) 適格性の欠如を理由とする解雇
(2) 精神疾患を理由とする休職を経ない解雇
(3) 精神疾患を理由とする休職期間満了時の解雇・退職
(4) 休職期間満了後も精神疾患等の理由から休職者自身が復職を拒む場合の解雇
(5) 休職期間満了後の復職過程において会社の受診命令を拒否する場合の解雇

職場復帰の定型的な判断基準はない

職場復帰可否について定型的な判断基準を示すことは困難です。個々のケースに応じて総合的な判断を行わなければなりません。

職場復帰の判断基準(例)としては、次のようなものが上げられます。

(1) 労働者が職場復帰に対して十分な意欲を示し、通勤時間帯に一人で安全に通勤ができること
(2) 会社が設定している勤務時間の就労が可能であること
(3) 業務に必要な作業(読書及びコンピュータ作業、軽度の運動等)をこなすことができること
(4) 作業等による疲労が翌日までに十分回復していること
(5) 適切な睡眠覚醒リズムが整っているおり、昼間の眠気がないこと
(6) 業務遂行に必要な注意力・集中力が回復していること

また、復職が成功するためには、次のような条件が必要とされます。

本人はもとより、担当者自身もストレスを背負うことになるので、「物事なるようにしかならない」という、流れに任せるという態度も必要です。


精神科の診断書に関して

精神科領域で提出される診断書の病名に関しては、精神科的診断名が曖昧に表現されることが少なくありません。

主治医が復帰可能と判断する目安(例)

(1) 回復、すなわち、うつ病の症状が消えて・・・
(2) これが4週間以上安定し・・・
(3) 自分自身で8割回復したと思い・・・
(4) 起床・就寝などの生活習慣の規律が回復・・・
(5) 本人の復職の意欲が出たとき・・・

この背景としては、患者自身が病名を知られたくない場合もありますが、多くは精神科的診断名への世間の強い抵抗感が作用しています。

そのため、厳密な診断名とは言い難い、ノイローゼ、心因反応、自律神経失調症、神経衰弱、心身症、不眠症などが便宜的に使用される傾向があります。また、抑うつ状態、幻覚妄想状態など状態像で表現されることもあります。

どうみても復職は無理なのに、家族などからせがまれ「復職可能」の診断書を書く医師もいますが、これを真に受けて復職させて「再発→再度休職」となっても主治医は責められません。

というのも、最終的な安全配慮義務を負うのは、事業所側だからです。最終的に復職を許可する権限は、主治医ではなく事業所側にあるのです。

主治医の診断書に疑問があれば、三者面談をするとか、産業医など会社指定の医師の診断書を求めるべきです。

※こうしたことから、産業医と主治医は異なる利害関係にあるので、メンタルヘルス専門の産業医であっても主治医になるべきではない、と言えます。

また、精神科領域で一般的に使用される「寛解remission」とは、「現時点では良好な状況であるが、将来的には再発・再燃の可能性がある」という意味を含んでいるので、予防面も含めて職場関係者は十分理解する必要があります。


まずは原職への復帰

原職より好ましい職場があったとしても、新しい環境への適応にはある程度の時間と心理的負担を要します。

そのことで、疾病が再燃しないとも限りません。

こうしたことから、とりあえずは原職への復帰が原則とされます。

ただし、原職への異動が発症の誘因となっている場合などは、適用できていた以前の職場に戻すか、または他の適用可能と思われる職場への異動を考慮した方がいい場合もあります。


職場復帰に当たっての障害

家族は少しでも早い職場への復帰を望んでいます。

健康管理のスタッフは、きちんとした治療を段階的な職場復帰のための配慮を求めています。

会社は、業務遂行が普通にできる状態になってからの復帰を望んでいます。

この3者の思惑の違いから、職場復帰のルール作りが簡単には進まなくなります。

特に、メンタルな病気で休職に入る場合、休職理由は職場の上司だけでなく、関係者の多くがそれを知っている場合が多く、ましてや、休職前に人間関係でトラブルを起こしていた場合は、その理由を秘匿することは困難です。

職場は当然、慎重なスタートを考えるようになりますが、このことが、復帰する側から言わせると、特別扱いを受けて本人を遠ざけるように思えたり、差別されているように思えることにもなります。


同僚の了解を得る

職場でトラブルを起こして休職に入った事例や、本人への就業制限などの配慮により他の従業員に業務上の負担かかかる場合などは、本人から承諾を得たうえで、一定の情報を同僚に伝えることもあります。


復帰に向けた打合せ

休職期間が満了に近づくと、人事担当者が、患者に内緒で主治医に相談を持ちかけるケースがありますが、個人のプライバシーからいっても好ましいことではありません。

患者の承諾を得たうえで相談するか、もしくは、患者、主治医、産業医、人事担当者、それに家族が一堂に会して話し合うことがいいでしょう。

本人がそうした場の設定を望まない場合は、段階的な打合せの場を設けることが必要です。

段階的な打ち合わせ(例)

第1回 患者・人事担当者・家族で打合せ。病気の現状や心理状態・治療内容などのヒヤリングを行う。現在の心境や、今後の希望などについても確認。
第2回 患者・人事担当者・家族・主治医で打合せ。現在の服薬状況や体力状況を確認。そのうえで復帰時期の告知、復職までのプロセスを確認。復帰時期・勤務地・勤務時間・役職について意見交換。
第3回 患者・主治医・産業医・人事担当者・家族で打合せ。現在の服薬状況や体力状態から、具体的な復帰時期や方法を相談。復職の際の注意点を確認。復職時期の最終確認も行う。このとき、本人の健康状態にいささかでも不安があれば、延長するようにする。

復帰後は、普通に接する

復職後は、復職プログラムで決まっている就業制限以外は特別扱いしない、ということを本人によく納得させておきます。

会社には産業医から、「意見書に書いた就業上の配慮等以外は、普通どおり接してください」と明確に説明します。

腫れ物に触るような対応は不要です。

心の病抱える社員 半数の企業で「増加」

財団法人「労務行政研究所」は15日、「社員のメンタルヘルス(心の健康)」について初めて実施したアンケートの結果を発表した。

この3年間でうつ病や心身症など心の病を抱える社員が「増加している」と答えた企業が52%にのぼった。1ヶ月以上の休職者がいる企業も50.9%を占めた。

一方、相談体制を整えた企業は約4割、休職後の職場復帰の手順を定めた企業は4分の1にとどまり、対策の遅れも浮き彫りになった。

調査期間は今年1〜2月。上場企業など全国3,952社を対象に郵送し、276社の人事・労務担当者から回答を得た。

うつ病やノイローゼ、心身症、人格障害などの精神不調を「メンタルヘルス不全」と定義し、会社に医師の診断書を提出した在職・休職者の有無などを尋ねた。

心の病を抱える社員の最近3年間の増減傾向では、「横ばい」と答えた企業は18.9%、「減少している」は1.8%にとどまった。

従業員1千人以上の大企業に限ると7割が「増加している」と答えた。

「増加」と答えた企業に、特に目立つ年代を聞いたところ(複数回答)、トップは30代で39.6%。

次いで20代(27.6%)、40代(18.7%)の順。「年代に関係なく」も34.3%だった。

その対策(複数回答)については、「心の健康対策を目的とするカウンセリング」と「電話やメールによる相談窓口の設置」がともに42.4%で最多。病気の早期発見や円滑な職場復帰に必要な「管理職に対するメンタルヘルス教育」の実施は39.1%で、1千人以上の企業では6割を超えたが、300人未満では1割に満たなかった。

休職後の対応で、配置転換や短時間勤務など働き方に配慮した職場復帰プログラムを設けているのは25.5%。自社の対策に56.9%が「課題がある」と答え、長時間・過重労働の改善や復職の見極めと復職後の支援体制などを挙げた。

(asahi.com 2005.4.15)


メンタルヘルス不全のため1ヶ月休職している社員の有無

区分 規模計 1,000人以上 300〜999人 300人未満
合計 (271社)
100.0%
(112社)
100.0%
(95社)
100.0%
(64社)
100.0%
いる 50.9% 78.6% 45.3% 10.9%
いない 45.4% 15.2% 51.6% 89.1%
わからない 3.7% 6.3% 3.2% -

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