労働協約・労働契約との関係

就業規則と労働協約、労働契約の優先関係

労働協約は就業規則に優先します。(労働基準法92条)

就業規則は使用者が一方的に作成するのに対し、労働協約は使用者と労働組合が対等の立場で取り決めたものだからです。

就業規則で定める基準に達しない労働契約は、その部分については無効となります。(労働基準法93条)

この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準にとってかわります。

労働基準法92条は、就業規則の労働条件基準が労働契約で定める労働条件を上回るときだけに適用されますので、就業規則の基準以上の労働条件を定める労働契約は、その部分についてはそのまま有効です。

例えば、就業規則ではパートの賃金を時給1,000円としておきながら、個別に締結した労働契約書や労働条件通知書では時給900円としていた場合、たとえそのパートタイマーが時給900円で合意していたとしても、就業規則によって時給1,000円の契約を締結したことになります。

逆に、就業規則では時給1,000円としたが、個々の労働契約書では時給1,100円とした場合では、この契約内容が「就業規則で定める基準」に達しているので、1,100円の合意は有効だといえます。

猪高学園事件 名古屋地裁 昭和58.5.23

周知義務を定めた労基法106条1項は、単なる取締規定というべきではなく、必ずしも同条1項所定の周知方法がとられることまでは要しないが、少なくとも労働者がこれを知ろうと思えば知りうるような状況におかれていることが就業規則の効力要件である。

光洋精工事件 徳島地裁 昭和45.3.31

試用期間を2か月と定める就業規則がある場合、この定めは労基法93条の労働条件に含まれ、試用期間を1年とする労働契約はこの労働条件より不利なものであるから、2か月を超える部分は無効である。

中村学園事件 福岡地裁 昭和46.8.3

私立大学教授の定年につき、就業規則上の定めより有利な特約がなされている場合、就業規則の変更は、右特約の効力に影響を及ぼさない。


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